2022年11月8日付高度プロフェッショナル制度に関する報告書

労働基準法第41条の2において定める制度「高度プロフェッショナル制度」については、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議」(2018年6月28日参議院厚生労働委員会)において、「高度プロフェッショナル制度に関して、政府は、三年を目途に、適用対象者の健康管理時間の実態、労働者の意見、導入後の課題等について取りまとめを行い、本委員会に報告すること」とされている。この附帯決議を受け、2022年11月8日付「高度プロフェッショナル制度に関する報告書」が作成されている。

諸派党構想・政治版

本資料の入手にあたっては「諸派党構想・政治版」の枠組みを利用した。

上記附帯決議に伴う参議院厚生労働委員会への報告内容が開示されていなかったため、「諸派党構想・政治版」経由厚生労働省宛てで提出を依頼したものとなる。

導入後の課題等

2022年11月8日付「高度プロフェッショナル制度に関する報告書」に記載されている導入後の課題について、労政審の議論内容が改竄されており、大問題である。

2022年7月27日の労働政策審議会労働条件分科会において、高度プロフェッショナル制度の現状について報告が行われ、現行制度の適切な運用がなされるよう、
 ・特に健康管理時間が長時間となっている事業場に対する監督指導の徹底が必要
 ・本人同意に当たっては、対象労働者が制度や契約の内容を理解することが重要
 ・今後の制度見直しに当たっては、選択的措置や健康・福祉確保措置について実効性の観点から検討すること
が必要とされた。

2022年11月8日付「高度プロフェッショナル制度に関する報告書」

実際の労政審の議事録では八野委員より年収要件に関わる確認の必要性が指摘されている。

○八野委員 ありがとうございます。
資料の9ページに記載のある適用後の直近の年収について、適用要件として1,075万円以上でなくてはならないわけですが、適用労働者の給与額の決定単位が異なっても年収要件を満たしているか確認する事が必要なのではないかと思います。今後どのような監督指導をしていくのかをお伺いしたいと思っております。
○労働条件確保改善対策室長 まず、1,075万円未満のところについてでございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、匿名で任意のアンケート調査でございますので、労働者の方が何をもって回答されたのかということまでは分からないというところでございます。
ただ、監督指導に関しましては、先ほどもありましたとおり、全ての事業場に関して監督指導を実施することとしていますので、こういった事業場に対しても監督指導を行うということになります。この調査自体は任意のアンケートで行っていますので、これ自体を端緒として監督指導するということではありませんが、監督指導を行っていく中で、1,075万未満というものが出てくるのであれば、それは当然に是正を指導していくということになると考えてございます。

2022年7月27日 第176回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

これに関連して、2022年11月8日付「高度プロフェッショナル制度に関する報告書」には「年収要件を満たしていなかった場合には、 同制度の適用は無効となる。」という脚注を小さな字で入れている。以前、年収要件未達のクレームを東京労働局労働基準部(高プロ担当)に入れたところ、厚生労働省本省確認の上、「遡って高プロ不適用になる」という本省回答を得てしまい、労働契約一方的破棄を追認されてしまった。

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