ALBA Spoon W850②
という事で子供頃の憧れだったALBA SPOON W850-4010を手に入れた。
しかし20年以上前のデジタル腕時計。状態はやはり難点があった。
以下の画像は分解した後のW850のキャリパー。
液晶にムラが発生しており、反転具合が怪しくなっている。
所々濃かったり薄かったり、画面を指で押すとちゃんと発色したりしなかったりドットが列ごと抜けたり。
液晶は有機化合物である故に寿命があり、約8年(7万時間)で不具合が
起こりやすくなる。個体差はあるものの、10年持てば御の字というのが基本。
※参考HP、シチズンhttps://citizen.jp/faq/detail/id1347
この液晶を取り換えるか、キャリパーまるごと別の個体から移植をしないと、視認性も悪く実用には至らない。
「同じ型番の生きてるモジュールを搭載した」時計の生き残りが、果たして今売られているかどうか…
あったわ。
SEIKOのh-timetron(の本体のみ)。実にナイスなタイミングでヤフーオークションに流れていた。悔しい事にプレミア価格がついていたけども、
液晶の状態はかなり良さげだったので、背に腹は代えられない。運よく落札し、手元に届いた。
h-timetronは1999年発売。PCの様な外観で人気を博したモデルだ。
しかし樹脂バンドが加水分解でボロボロになっている個体や、
液晶が劣化している個体も数多く、美品が出れば数万円で取引されていたりする。
W850と同じ、ドットマトリクスキャリパーが使われている。
更にただの反転液晶でなく、文字が緑色の仕様。TIMEXのデジタル腕時計がニュアンス的に近い色合い。このサイバーなグリーンフォントキャリパーを移植する事にした。
メーカー保証なんて遥か昔に無くなっている。
そもそもメーカー側に交換パーツが無い為にオフィシャルな修理は不可。
ならジャンクをかき集め、ニコイチサンコイチで復活させるしかない。
繊細なパーツの為、ミスも許されない。ハイリスクハイリターン。
h-timetronの裏蓋を開け、慎重にキャリパーを取り外し、W850に移植。
予想通りドンピシャ。バッテリーも新品に交換し、AC端子とバッテリーの
プラスをピンセットでショートさせリセットを掛ける。
ちなみに圧電素子ブザー用のマイクロスプリングはどちらにも入っていなかった。そのうち適当なジャンクの時計からスプリングのみ移植させる。
オーケー。完璧。視認性も格段に良くなった。
何より、ヘアラインステンレスボディと黒緑液晶のバランスが最高。
各ボタンも問題なく使える。
無事修理完了。最高だ。