【軍国主義・絶対王政復活可能】元司法試験受験生が、自民党憲法改正草案を読んでみた その1

長文になるので、とても気になった部分のみ特に引用しようと思います。
まず憲法前文から「はぁ?」となったのだけはまず言っておきます(苦笑)


日本国憲法改正草案(自民党サイトより)
http://constitution.jimin.jp/document/draft/

自民党草案前文の一番最初の一文
「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって~」


現行法の天皇の位置づけはあくまで、天皇は「国民統合の象徴」であることは間違いないです(現行憲法第1条)
しかし、「戴く」っていうのはとても受け入れがたい表現です。
あくまで天皇は象徴であって、主権もありませんし、戸籍もありません。すべき国事行為等は現行憲法で定められてはいますが、それはあくまで、象徴である天皇ができること、すべきことを明示しているにすぎません
あくまで、一番権力を持っているのは主権者である国民です(現行憲法前文、1条)
そして、主権者たる国民の総意に基づいて天皇の存在の位置づけが行われます(現行憲法前文、1条)
だから、口語にすれば日本でぶっちゃけ一番偉いのは国民です。なのに、象徴=国民にとってのアイドル的存在であり、諸外国に対しては象徴である皇室として接待する等の国務はあるにせよ、権力がある、偉い偉くないで比べるのであれば主権者たる国民が一番偉いのであって、だからこそ、法律をつくるという大切な機関である国民が国会議員や地方議員を選ぶことができるのです。
現行天皇も実際は、国会及び内閣の指示がなければ何もできません(現行憲法3条、8条)参政権もなければ、政治的表現の自由さえありません。

現行憲法では
第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。

とあります。ということは、主権者である一番偉い国民が「税金の無駄だから、天皇制辞めよう」っていう総意があれば、天皇はただの国民になることだってある訳です
なのに、自民党草案で、憲法の前文!一番最初に!この日本国が理想とする信念を示す前文にて「天皇を戴く」=主権者たる国民よりも権力があるとも取れかねない一文があることに驚愕しました。
これは、この一文を用いて将来的にまた天皇を象徴として軍国主義に走ることを容認しかねない表現でありとても危険です

自民党草案第一条 天皇は、日本国の元首であり(以下略)

元首って、どんな地位なんですかね…orz
これ、有名な憲法学者の某先生とか呼ばれて議論されて出来上がったんですよね?先生方のお話、ちゃんと聞いてました?
ちょっと…ただの素人の私でも呆然とする表現が多すぎです。
では、この元首って何なんでしょうね?
一歩間違えば、一番権力を持っているはずの主権者たる国民が間接的にせよ選んだ内閣総理大臣より権力を持っていたり、同じ立ち位置にいると言う風に解釈することもできませんかね…?
こんなまだ、前文と1条だけ読んだだけで危ない草案通そうとしているんだからもう愕然です。
ねぇ?元首って誰?元首ってどんな権力と権利があるの?どのようなことができるの?
そういうことが憲法ではっきり書いていない以上、下位法で定めるんでしょうが、下位法というのは国会で自由気ままに改正が可能です。

現行憲法は硬生憲法(現行憲法96、97条)を採用していて、
1、両議院の、国会議員の総議員の3/2以上の賛成
2、国民投票での過半数の賛成

がないと憲法改正ができません。
それだけ硬く、国民の権利と自由を守っている訳です。
しかし、憲法以外の法律は国会議員がある程度の数の賛成があれば改正可能なので、「元首」の権力や地位も自由に改変可能ということです。最初は「象徴と同じ意味です」とか言っちゃっても、後で下位法で、例えば「元首に関する法律」とか作って、それを改正するだけで、正直私たちの主権は取り上げられ、天皇を"戴く"絶対王政時代に戻ることも可能です
しかもこの、国民投票の法律は既に自民党がいいように下位法を作成し、「投票した人の過半数の賛成があればよい」ということになっています
だから、投票してない人の意見は聞かないということですね。主権者たる国民に対して、このような大切な改正の議論について。
その方が、憲法改正議案が通りやすいからです。
このように国会では自由に国会議員がある意味自分の都合の良いように法律をつくることができます
しかし、憲法はそうはいかない
何故なら、両議院の総議員の3/2以上の賛成なので、衆議院議員は465人いますので、311人以上の賛成、参議院では248名議員がいますので、166人以上の賛成が必要になる訳です。
普通の法案の議決では、欠席者等は含めず過半数の賛成で法案は通りますので、そう考えると、この「総議員の3/2の賛成」ってとっても難しいのですよ
それだけ、私たちの権利や自由が国会議員の都合で改変されないようにできています
しかし、現在衆参両議院で3/2以上の議席を自民党が取っていることが私は怖くてなりません

そのため、この「1、両議院の、国会議員の総議員の3/2以上の賛成」というのは、現時点の国会では、無理やり通そうと思えば可能な状況に今あるということです
絶対王政も可能な文言が1条から入っている草案通ったら、この国はどうなるんでしょうね。間違いなく自衛隊を用いて、諸外国のいいなりになって戦争に参戦する姿が目に浮かぶようです


自民党改正草案第3条2項 日本国民は国旗及び国歌を尊重しなければならない

「はぁ?」ですよ
私は別に君が代は曲としても好きですし、別に起立斉唱に不満はありません
しかし、それが嫌な人もいるんです。君が代の歌詞の意味は略して言えば「天皇の御代が永遠に続きますように」という意味です。それが国歌であることが嫌だという考えの人もいるんです
その人にも、この自民党憲法草案は、嫌だと考えることすら憲法違反だと言いかねない草案だと思います。
色々な考えの人が居た方が、より良い未来を築けると私は考えています。
色々な意見をぶつけあって、よりいいアイデアが浮かぶこともあるでしょう(思想の自由市場)
なのに、この自民党草案では、その、嫌だと思い、起立斉唱しない自由を明らかに侵害しています。こんな法律が仮に制定されたら現行憲法では間違いなく違憲です。

しかしこの自民党草案が通ってしまって、憲法となってしまったら、その人たちの自由や思想の自由が確実に奪われます

自民党憲法改正草案第6条4項

天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の進言を必要とし(以下略)

「進言」!!「進言」ですか!
いつから内閣は天皇より権力が下になったんでしょうかね。

内閣は間接的にとはいえ、主権者たる国民が選んだ国会議員が過半数(だったと思います)を占めているはずですし、最低限でも総理大臣は国会議員です。その主権者たる国民が間接的に選んだ内閣が、天皇に「これやってもらえますか?」と「進言」するんですか
ということは、天皇は「いやだ」ということができますね。日本語を素直に解釈すれば。
現行憲法では天皇の行為にはすべて内閣の「助言と承認」が必要です。要するに、内閣がOKを出さないとやりたいこともやれませんというのが象徴天皇の地位です。
それだけ、軍国主義の象徴とされた天皇が二度と同じように軍国主義の筆頭となり、また同じ過ちを繰り返さないように憲法は天皇の権利を、天皇ですら日本国民であるにも関わらずあらゆる自由や権利をはく奪された存在になっているのです。
勿論、天皇・皇族として生きておられる方々にはとても大変な思いをさせてしまっていると思います
でもそれだけ、第二次世界大戦への反省、そして二度と戦争をしないための制度を維持して今があるのです
それが「進言」!私が天皇だったら「進言」ならヤだとか普通に言いますね。だって「進言」だもの「承認が必要」な訳ではないのですから、天皇だって1人間、「進言」でしかないなら自由に生きたいですよ。
そうしてまた軍国主義に戻るための布石をこうやって草案に置いているのですね

大事な憲法第九条の改正草案の話に行く前にもう疲れてしまいました(涙)
とりあえず、今日はここまでにします…。
まだまだこの後条文があるにもかかわらず、ここまででここまで酷いのですからもう開いた口がふさがりません。
皆さんも、是非よく考えて頂きたいと思います。
私の意見も、あくまで1意見です。自民党草案でもいいという方もいるかもしれません
しかし、現行憲法の素晴らしさを思うと、とても「はぁ?」と言わざるを得ない文言が多すぎます。

もし心に響いたならば……投げ銭のひとつやふたつやみっつやよっつ!!よろしくお願い致す!(笑)