Gas Works Park

音は、聞こえるけどいつもより遠くにある気がした。

ただただ何もない、草の短い芝生の上を歩いて
シートを敷いて、四隅を荷物で止めた。

ごろごろしてみたり、空が広いと言ってみたり、おやつを食べたりした。
ひととおり終わっても、みんなまだその場でのんびりしている。
時間がゆっくり流れていた。
何かしなきゃいけない時間はそこにはなかった。

靴を履いて、足だけシートからはみ出して、膝を抱くように座ったとき、正面にある湖にはカヌーを漕ぐ人たちが見えた。
その向こうには、家がたくさんあった。

こんなに、こんなにゆっくり時間が流れる場所で生活して生きているひとたちがいる。
そこにひとがいることを、知っていたけど知らなかった。
自分じゃない人たちがたくさんいて、それぞれが生きていて、この場所で生きることを選んでいた。

豊かだ。

こんな風に生きていいんだ。好きに生きていいんだ。
生まれて初めて、体を伴ってそう思えた。