見出し画像

日本で初めて、政策起業家コミュニティが開始~7月15日に設立オンラインシンポジウム

 PEP(Policy Entrepreneur's Platform)という、日本社会で政策起業家を生み出していくコミュニティを目指した取り組みが進められています。このPEP設立を記念した、オンラインシンポジウムが7月15日に開催されますので、紹介します。

1.そもそも政策起業家とは何か

 政策起業家とは、"政策実現のために利害関係者を動かしながら政策を実行していく個人"のことで、1980年代に米国から広がりました。国内では、PEPを主宰する船橋洋一氏が、東日本大震災以降の民間による政策形成に着目し、昨年刊行した『シンクタンクとは何か~政策起業力の時代』で改めて政策起業家の重要性を提唱しました。

 同時に、政策起業家についてのシンポジウムを開催した経緯や、国内を代表した政策起業家といえる駒崎弘樹さんによる発信を、昨年の9月に私もnoteにまとめましたので御覧ください。

 近年、災害や感染症といった社会課題の深刻化や、テクノロジーの社会実装、また復興がまさにそうですが民間と行政の連携が必須である状況にともなって、「政策起業家」のコンセプトはますます重要性を増しています。非営利組織にとっても、社会課題解決を進める上でいかに制度と効果的に連動していくかが問われており、私もPEPに強く賛同し、コアメンバーの末席に加わりました。

2.PEPは何を目指すか

 PEPは3つの目的を持っています。
 一つは、「政策起業家とは誰か、を示すこと」。PEPでは公益志向であり、また提言にとどまらず関係者を巻き込みながら政策実現まで目指す個人こそ、政策起業家であると捉えています。近年、政策にかかわる民間人は増えていますが、あくまで自社や業界の利益を目指す旧来型の「ロビイスト」も少なくありません。政策起業家は、すこし異なった存在であることを示していきます。
 いま一つは、「政策起業家の裾野を広げること」。非営利分野でも、政府や地方自治体の政策に関わることに関心をもつリーダーが増えています。そうした方々にノウハウを提供して、より多くの地域で、より多くの社会課題分野で、政策起業家が増えることを支えます。
  最後の一つは、「政策起業家が活動しやすい素地をつくること」。政策起業家はともすると利益誘導型のロビイストと誤解され、政府や行政から警戒されます。また政策に近い立場になりますから、特定の利害をもった企業や、政治集団に利用されることも懸念されます。政策起業家という何かの認知を広げ、また事例を紹介することで、政策起業家が活動しやすい環境を整えることを目指しています。
 今回のオンラインシンポジウムでは、政策起業家について発信し、また現時点で政策起業家と認められる動きをしている方々がつながり、新たなムーブメントが作られることを目的としています。

3.政策アウトリーチについて

 7月15日のセミナー内容は素晴らしいものばかりです。全体セッションで政策起業家とは何かを発信しつつ、分科会では「テクノロジー」「教育」「メディア」といったテーマと政策起業家の関係について語られます。
 私が担当するのは「政策のラストワンマイル~政策アウトリーチ」になります。駒崎弘樹さんとの「こども宅食」事業を通じて、福祉分野で制度を用意するだけでなく、当事者に直接出向き、政策を届けていく「アウトリーチ」の重要性を学びました。

 またコロナ危機に対して膨大な政策を政府・自治体が放つ中、各事業者に適した情報をカスタマイズして提供することが必要との問題意識で、freee社スポンサードで制度の紹介サイトを作りましたが、これも政策アウトリーチの問題意識に基づいています。

 法案が可決されることではなく、当事者に制度が届くことこそ、政策起業家の目的である。そうした問題意識を理解頂くために、今回のシンポジウムでは「政策アウトリーチ」を一つの分科会にしていただきました。
 現場を動かす視点から政策に携わる駒崎弘樹さん、渡辺由美子さん。また元行政の立場で千正康裕さん、国会議員の立場か山本香苗さんにオンライン登壇いただき、私は司会役を務めます。

 政策起業家というコロナに揺れる今の日本に必要なコンセプトをぜひご理解頂ければと思います。シンポジウムの詳細や申込みは次のサイトを御覧ください。7月15日にお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?