ヴァーゲンザイルのハープ協奏曲

エマヌエルのハープソナタは「笑うバロック」にいれたけれど、はてさてヴァーゲンザイルはどうしたものかしら。国書刊行会の「古楽CD100ガイド―グレゴリオ聖歌からバロックまで今いちばん新しい音楽空間への冒険」ではエマヌエルを掉尾にしていました。アーノンクールのようにモーツァルトがバロック最後の作曲家的意見もあり----。プレクラシックは扱いに困ります。

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痒いところに手が届くナクソスの古典派協奏曲集。1997年。ヴァーゲンザイルはエマヌエルと同じくらい。クルムホルツがハイドン、ドゥシェックがベートーベンあたりに対応するかと。ヘンデルもボワエルデュもないところが気に入って聴きました。

2019年のマルグレト・ケルの最新盤「マリアテレジアのウイーンのハープ」に同じヴァーゲンザイルのト長調協奏曲が。ご本人の粋なCM動画があります。楽譜には、クラブサンまたはハープのための2つの協奏曲、とあります。シングルアクションハープとバイオリン2、チェロのシンプルな編成。ペダルハープでなければバロック100選にいれようかと。

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 久元祐子氏のサイトによると、

女帝マリア・テレジアの時代は、モーツァルト、そしてハイドンを中心に花開く、ウィーン古典派音楽を準備した時代ということが出来ます。
1740年、マリア・テレジア が女帝となったとき、ウィーンでは、フックスなどのバロック音楽が全盛期でした。(在位~1780年)
女帝の時代になると、ミサ、オラトリオ、オペラなどの面で、新しい音楽が現れてきました。また、器楽音楽の面でも、古典派の作風の前触れとなるような作品が生まれていきました。その代表は、モン兄弟によって作曲された交響曲でした。4楽章形式で、第3楽章はメヌエットでした。そして、女帝ウィーン楽壇の重要人物が、ゲオルク・クリストフ・ヴァーゲンザイル(Georg Christoph Wagenseil 1715 - 77)でした。マリア・テレジアの音楽教師、宮廷内の礼拝堂オルガニストなどをつとめた人物です。

アクサンからは2007年にヴァーゲンザイルの協奏曲集がでており、そちらにはヨハンナ・ザイツのクシノー作ハープでヘ長調協奏曲、世界初録音と。これで前述の「2つの協奏曲」だと。ザイツにはダルシマー奏者の姉妹(双子かしら)が。いずれにせよ、ケルもザイツもガラッシの生徒さん。

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それでヴァーゲンザイルのハープ協奏曲は2曲かと思ったら、レイチェル・タリトマン(ベルギーの人みたい)が、いかにも6曲セットのうち5曲を、という雰囲気で。しかも前述のト長調ヘ長調は含まず。どうも1761年ロンドン刊の6つの鍵盤楽器用協奏曲の様子。ハープ可かとも。地味なエンサイクロペディア的演奏家なので、根拠はあるのかもしれません。

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ちなみにチャーミングなト長調協奏曲は1965年ころにサバレタが。

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