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「暗闇と深淵」聖週間のルソン、バスーンの参加(その2)不思議なアンコール付き

寄り道が過ぎました。しかし、バロック音楽を聴いてきて思うのは、図像の参考資料は同時に愉しんだ方が得ということです。
あまりにかけ離れた別な世界の音楽ですから。うかつに手近なものと比較対照することはできるだけしないよう注意しています。
1996年4月、小池久美子さんがまだお元気だった小島芳子さんと開いたモーツァルトの歌曲リサイタルを聴いたことがあります。ドイツ語の歌曲とイタリア語のアリアを聴いて、口をついて出たのが「ジャガイモとオリーブ」でした。


フィオッコ(1703-1741):第1の哀歌
低音楽器3声のトリオソナタが歌手を伴奏するような形。擦弦楽器でそろえることが多いのですが、バスーン、ガンバ、チェロで。

フォルクレ:三つのヴィオールのための組曲

ポリオ:『エレミア哀歌』による聖土曜日のための第1ルソン
ラモーのオペラアリアみたいでした。ミシェルよりかなり若い。そしてちょうど資料が整ったところだった様子。そもそも録音で、バスーンというのは出演にクレジットされていなくても聴こえてくるくらいの役割だと思います。

ボワモルティエ:通奏低音を伴わない三つのフルートのためのソナタ
(バスーン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェロと通奏低音による演奏)

ミシェル:エルサレム、エルサレムよ
『高音部、チェロおよびバスーンと通奏低音による聖週間第2日のための第3ルソン』より
フランスバロックのルソンというジャンルは、ミニマムな作品が多いのですが、時折シャルパンティエのH.85のように、イタリア風というのか、すこし華があるものも。

ド・ラランド:聖金曜日のための第3ルソン
もはやルソンの中の名曲。歌詞の選択がほかの作品群と違いがあるため、音楽をもっとも優先させた作品かもしれません。この掉尾の技巧的な「エルサレムよ」だけをアンコールしたり、器楽編曲したり、の例もあります。
さて、バスーンはしゃしゃり出ることは一切なく、難しいと思うのですが見事に周囲に溶け込みながら、明快にリズムを刻んだり、歌手と同じように呼吸する楽器として低音部を歌ったり、持続音でオルガンのように支えたり。

このCDではドラランドの「エルサレムよ」の後、沈黙があり不思議なアンコールが演奏されています。3分ほど収録時間が余っているので不審に思います。最初のフィオッコの「エルサレムよ」の一部を、口が空いてる器楽陣、おそらく男性3人が控えめに素人っぽく歌います。テシエの解説に記載があるのみで、製作上のミス収録かと勘違いされそうですが。

ウジェーヌ・ルフェーヴル(ソプラノ)
アンサンブル・ルヴィアタン(古楽器使用)
カミーユ・デュポン(チェロ、バス・ド・ヴィオール〔ヴィオラ・ダ・ガンバ〕)
ジュリー・デサン(バス・ド・ヴィオール、ヴィオローネ)
クレマン・ジョフロワ(クラヴサン〔チェンバロ〕)
ロリス・バリュカン(オルガン)
リュシル・テシエ(バスーン、指揮)
2022年5月2-4日

あまり注目してこなかったバスーン、人材が育ってきたようです。
アッツォリーニくらいしか気に留めませんでした。日本人もソロリサイタルを開く程育っているようです。

長谷川さんのプロフィールを検索したら、奏者ふたり名前が挙がっていました。ジェレミー・パパセルジオとパオロ・トニョン。聴いてみました。このCDを父親から聴かされて、チラシのところまで昇り詰める長谷川氏の「さかなくん」度の方に驚かされました。

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