笑うバロック展(543) ペダルハープ狂想曲

前項でエマヌエルの周辺のハープは、シングルアクションらしいとわかりました。吉野さんのインタビューだとシュポアあたりがシングルダブルの境界線らしい。ということは、モーツァルトのフルート・ハープ協奏曲がど真ん中あたりということでしょうか。吉野直子さんはアーノンクールと。

ブリュッヘンが最初に録音したとき起用したのはフィア・ベルクハウトの弟子エドワルド・ヴィッセンブルクでした。2度目はヘルガ・シュトルク。ホグウッド盤もベルクハウトの教え子フランシス・ケリー。コープマンはサスキア・クワストという人、この人もベルクハウトスクールかも。インマゼール盤はもっと若い世代みたい、マルジャン・デハーと読むのかしら。もしかしたらベルクハウトの孫弟子かも。クロフォード指揮のビクトリア・ドレイクはアメリカ生まれで師匠筋はわかりません。ちなみに出だしの総奏の後通奏低音を弾いているのはガラッシだけみたい。ホグウッドはチェンバロの通奏低音付かしら。結局、長澤真澄さんがもっとも積極的かもしれません。長澤さんもベルクハウトに習った方ではなかったかしら。

失礼ながらローレンス・キングはペダルハープは弾けないと勝手に思っていました。そうしたらご自身のサイトで1996年にBeat Wolfのルイ16世ハープを弾いていると。英語だと「センチメンタル・エイジのフルートとハープ」。アーベル、クヴァンツ、ベンダ兄弟、ミューテルなど。ちなみに、このCDは素晴らしい出来と思います。超有名な「バッハのシチリアーノ」!!

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たしかに。通奏低音だけでなく、鍵盤オブリガートが活躍するゲオルク・ベンダのト長調ソナタを。

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モーツァルトのフルート・ハープ協奏曲と同じくらいど真ん中が、どうもマリー・アントワネット。今から20年前オリジナルのナーデルマン・ハープが話題になりました。ヴィッセンブルクのモーツァルトではエラールだったと。

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2001年05月03日『よみがえるナーデルマン・ハープ-18世紀オリジナル楽器の典雅な響き』
(有)コジマ録音ではこの度、4月30日より新譜『よみがえるナーデルマン・ハープ-18世紀オリジナル楽器の典雅な響き』を発売する。本作品に使用しているハープは、王妃マリー・アントワネット専任ハープ製作者ナーデルマンの1780年代の作品で、外観・メカニズム共にオリジナルの古楽器になります。演奏者の神藤雅子は、このナーデルマン・ハープによる世界初ソロアルバムの録音にあたって、その魅力を余すところなく伝えている。神藤自身もその音色に魅了され、ついには購入にいたった、という伝説のハープをぜひとも味わっていただきたい。(季刊・オーディオアクセサリー編集部)

神藤氏はその後、ハープセラピーのセラピストに。

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ハープ奏者。故R.S.ステイン女史(元英国王立音楽院ハープ科主任教授)に師事。現在は18世紀の古楽器「ナーデルマン・ハープ」を専門に活動している。CDソロ・アルバムに「よみがえるナーデルマン・ハープ」(コジマ録音 ALCD-1031:音楽之友社刊「月刊ステレオ」誌2001年度最優秀録音〈クラシック部門〉第1位)。療法音楽の分野では、2004年に日本人として初めて音楽療法士の資格(CHM)を取得、2006年にはインターナショナル・ハープ・セラピープログラムを修了(CTHP)。日本福音ルーテル社団主催の養成講座「リラ・プレかリア」の創設にかかわり、ハープ講師として指導に当たっている。

2014年に、西山まりえ「王妃マリー・アントワネットのプティ・サロン」。ナーデルマン工房で、1775年に製作されたオリジナルのシングルアクション・ハープを使って、王妃マリー・アントワネットの音楽サロンの再現を試みたミニアルバムらしい。P. J. メイヤーのソナタとマリー・アントワネット(伝)「それはわたしの恋人」だけが収録された本当のミニアルバム。「限定」で「完売」。宣伝用動画が見られます。CDの紙ジャケとずいぶん雰囲気が違いますな。

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マリー・アントワネット生誕250年の2005年には、かの池田先生がすごいことを。清川永里子氏の記事によると。

アントワネット作品のうち現存している全12曲を「ベルばら」作者である池田理代子先生が自ら歌ったアルバムもある(うち9曲は世界初録音)。「ヴェルサイユの調べ」(2005年キングレコード)だ。2019年現在は中古市場でしか入手できないが、「ベルばら」ファンやアントワネット好きには必携アイテムではないだろうか。なお、これも読者諸氏ならご存知であろうが、池田先生は1995年、47歳の時に東京音楽大学声楽科に入学し、現在は本格的な声楽家としても活動している。

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ソプラノ歌手・唐澤まゆ子による「L’Art de Marie-Antoinette~アート・オブ・マリー・アントワネット~」(2011年フォンテック)には、アントワネット作品2曲と、グルックやモーツァルトなど同時代の楽曲が17曲収められてる。アントワネットがリアルタイムでどのような音楽環境に囲まれていたかを知るにはうってつけのアルバムといえるだろう。

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ただこれらのCDではハープは使用されていません。

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