続けて意欲的な録音に耳が釘付けになりました。
ライブと違って記録が残る録音は、演奏者が様々なアイデアの中から既存の録音とは差異があり残す価値があり、聴く人びとを説得できること、が問われます。「自由にしかし逸脱せず」は99.9の同質性を踏まえながら、わずかな差異を再聴取につなげられるかどうか、がポイントになりそう。
で、ビバルディのホ短調チェロ・ソナタ。いまや世界中の弦楽器教室で勉強中の人びとを楽しませている、はず。
バロック音楽を中心に据えている演奏家は「始まりであり終わり」の一つかもしれません。
ひとりはチェロ奏者、Hanna Salzenstein ハンナ・ザルツェンシュタイン、いやアナ・サルゼンシュタインかしら。
「そしてチェロは歌う」くらい。歌謡性明快。
ビバルディのホ短調ソナタはかなりロマンチックに聴こえます。テイラーくんのチェンバロの音がバリバリと喧しくて好い感じ。
未知の作曲家の技巧的な曲を配して、ビバルディのトリオ、ビバルディが立派な芸術家に聴こえてきます。そして民謡風から始まったプログラムはにぎやかな太鼓のリズムで踊りくるいます。
もうひとり。ガンバ奏者。サロメ・ガスラン またはガセラン Salomé Gasselin。こちらは「Lecit レシ」。「ガンバは語る」みたい。内容も対照的です。朗読的でゼスチャールールのある演劇的です。
「レシ」というタイトル。辞書(ブイスー252)をひきました。
マレの第5巻のシャコンヌは思い出深いもの。初めて買ったマレのCDが5巻の選集で、膀胱結石が収録されているものの不慣れな組曲の並びに戸惑いながら「シャコンヌ」とはあのクライマックスの「シャコンヌ」と聴きました。
ビバルディのラルゴとはずいぶん違うのですが、リズミカルな同音反復があったなあ、と。
チェロは歌い、ガンバは語り、とくればあとはバイオリンがぶっ放せば----「ル・ブラン・セット」の完成です。