笑うバロック展(25) イマイチアイデアを救うズザネの迷宮----ロカテルリの迷宮協奏曲

次の企画を考えつつ、まず思いついたのが「対決もの」。
フローベルガーVSヴェックマン(1645-53年?、ドレスデン、鍵盤楽器)
ヘンデルVSスカルラッティ(1709年、ローマ、鍵盤楽器)
バッハVSマルシャン (1717年、ドレスデン、鍵盤楽器)
しかし、イマイチまとめ方がわからず。
その後、「シャコンヌ対決」はどうだろう----ヴィターリのシャコンヌとバッハのシャコンヌと、はてあと誰のがあるかしら。リュリ、ラモー、マレ、ヘンデルうーんイマイチ。
ビーバーの「ロザリオのソナタ」の録音史はどうかしら。25種の録音があるゾ。いったい誰が「初録音」なのか!!ズザネ・ラウテンバッハー(1961か62)、エドゥアルト・メルクス(1967)、フランツヨゼフ・マイヤー(1982か83)。いやちょっと待って、このズザネ・ラウテンバッハーとはいったい何者。
一層の検索に励み。
ウィキによると----「ズザーネ・ラウテンバッハー(Susanne Lautenbacher, 1932年4月19日 アウクスブルク)はドイツのヴァイオリニスト。ミュンヘンを拠点とするヴァイオリン教師で、フロイント弦楽四重奏団のリーダーであったカール・フロイントに学んだ後、ヘンリク・シェリングの薫陶を受けた。ミュンヘン国際音楽コンクールのヴァイオリン部門に入賞する。1950年代後半から1990年代初頭にかけて、数々のレーベルに協奏曲や室内楽曲の膨大な録音を残している。レパートリーは、ハインリヒ・ビーバー、ロカテッリ、バッハ(中略)のほか、ハルトマンやツィンマーマン、ヘンツェら現代音楽まで幅広い。アルトゥール・ダンゲルのヴァイオリンと声楽のための協奏曲《オルフェウス》や、エヴァ・ショルによるヴァイオリン協奏曲《70人体制(Septuarchie)》(1975年)など、多くの作品の初演者。室内楽奏者として、ヴィオラ奏者のウルリヒ・コッホ、チェリストのマルティン・オステルタークらと共演してきた」----。
ロカテルリ「バイオリンの技法(1733出版)」全曲(1957録音)、ビーバー「ロザリオのソナタ(1674年頃)」全曲(1962録音)、ビバルディの「四季(1723年作曲)」(1966録音)。
ロカテルリは昔「VOXbox」というのチープな装丁のコンプリートコレクションなレーベルから。いま考えれば希少録音がカゴに山積みキロ単位の安売り状態になっていました。ロカテルリは12曲セットの協奏曲集。その第12番「ハーモニクスの迷宮」というもの。「ラビリント・アルモニコ」を「調和の迷路」と訳すか「ハーモニーの迷宮」と訳すか。冒頭低音のリズム刻みから始まって、山登りのようにバイオリンのハーモニクスの技巧的ソロに向かって進みます。作曲された長いカデンツァ、不思議なトゥッティとの絡み、楽章の構成感より「バイオリンの技法」のためのロンドのよう、確かに貢献してます。「曲芸」的!!しかし、それが「バロック音楽」というもの。
ロカテルリは最初のカデンツァにあたるカプリスに「Laberinto armonico:'Facilis aditus; difficilis exitus':ハーモニクスの迷宮:入りやすい、逃げるのが難しい」という意味の表題を。歴史的評価も、バロック音楽の様式の中の最も難しいバイオリンパッセージのディスプレイとしています。
ズザネはよくいえば安定した端正な演奏。当然もっと面白みを求める人もいます。youtube上の2ライブはどちらもとても素晴らしい。モダン楽器サトゥ・ヴァンスカとオーストラリア室内管のもの。バロック弓でイリア・グリンゴルツとフィンランド・バロックオケのもの。共に2017年のライブ。
6とか12曲のセットははじめの半分を繰り返し聴き、後半の聴取回数が減ることが多いかも。(バッハの無伴奏チェロとか、ト長調の冒頭を繰り返し聴く人が多いのでしょう。たまには変ホ長調から聴いたり、ニ長調から遡ったりした方が出会いがありそう)

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