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笑うバロック(129) お気に入りのピアニスト

ロベール・カサドシュがお気に入りのピアニスト。
ショパン、ベートーベン、モーツァルトなど、ソニーに残した録音を聞くことができます。なんでもかんでもサラリと弾き過ぎと思う人もいるでしょう。セルと組んだモーツァルトの協奏曲集など、ヘブラーのような珠を転がす風情はないし、ペライヤのような骨太さもない、内田のような繊細さもない、自分を目立たせようという意気が感じられない。むしろ、セルのオケの美しいドライブ感が際立つようなソロです。でも、あるひとつの「伝統」の響きにひき付けられます。カサドシュは、ヨーロッパの音楽家一族の伝統を継いでいる人です。それとコンポーザー・ピアニストの系譜も継いでいます。
カサドシュのバッハ・アルバムも気に入っています。さりげなく美しいトッカータから始まり、駿足颯爽としたイタリア協奏曲、重過ぎないパルティータ、裸足のフランス組曲、てな具合。このバッハが好きなバッハ好きは少ないかもしれません。雑、思い入れが不足、何も考えてない、といわれそうです。でも人と違うことを目指して演奏しているのでなく聞こえるのは、私だけでしょうか。自分の内なるフィロソフィのままに弾いたら、結果として独自性がでた、ような。

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現在一番気に入っているバッハのCD。のだめのオクレール先生はカサドシュっぽい。のだめがリサイタルで弾いたイタリア協奏曲もこの演奏に近いような気が----勝手にしてます。グールドが褒めるだけあって(といっても褒めたのはショパンだけれど)グールドのよりよいと思います。音楽家一族の系譜に連なるコンポーザーピアニスト。そういう意味でクープランの子孫です。血縁はないと思いますが。

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