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(2011年4月) クープラン「ルソン」リスト-5 一部抜粋 =3種

クープランのルソンに関しては、3曲のセットで考えられることがかなり浸透しており、抜粋して録音される例は下記の通りです。そうした点では、バッハの「ロ短調ミサ」やベートーベンの「第九」に近い取り扱われ方と考えて差し支えないでしょう。

ルソン(1)のみ フィッシャー・ディースカウ 1963年録音 → 歴史的録音 声楽のエンサイクロペディアの貫禄としかいいようがありません。考えてみれば異例中の異例な録音です。しかし、こうした大家の活動のおかげでブンダーリヒのローゼンミュラーがあるのかしらん。それにしてもスゼーでなくなぜフィッシャー・ディースカウなのでしょう----。
ルソン(1)-(2)のみ 新久美 1989年録音 → 画期的な試み 実演ではルソン(3)も再三採り上げていました。もしこの企画が続いていたら----実際は諸事情から継続せず、画期的でありながら、いかに茨の道であったかが偲ばれます。大橋先生は、とあるカウンターテナーの歌うルソンを聴いたことがきっかけになり、ガンバ奏者がルソンの伴奏を継続研究の対象にしたと語っておられましたが、新さんとの邂逅もかなりのウエイトを占めていたと思います。ルソンが中心であったけれど、録音ではソロ以外考慮されなかったわけですから。さりげなく黙々と情熱を傾注する先生ならではです。結局クープランのルソンは3曲セットで実演では回数を稼ぎましたが、録音はされませんでした。


ルソン(3)のみ 「めぐり逢う朝」サントラ 1991年録音

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サントコロンブが、ホスピスの看取りのボランティアみたいな出張演奏をするシーンがあります。その前後に蝋燭を消す儀式のシーンもあり、ルソン(3)が流れたと記憶しています。そのまま奥方の幽霊が召喚されるのでなかったかしら。この2声の曲は、微風が入り込み揺らめく蝋燭の火と、それが発する明かりと影を思わせます。この曲が鳴り出したら、静かに耳を傾け、思わず最後までじっと聴き入ってしまいます。そうならない人がいるとしたら、残念ながらその方とはセンスが違いすぎてお付き合いは難しいです。


ルソン(1)のみ ジル・フェルドマン 2003年録音

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当時のフランスのラテン語の朗誦時の発音について、かなり気を使ったと記述されています。聴いてみての驚きは、器楽のような装飾記号の実行かしら。確かにこれは、あのクラブサンの大家の書いた曲なのですから。ソロのためのルソン名作集になっています。クープラン、シャルパンティエ、ドラランドの名作をそろえました。


ルソン(3)のみ アンサンブル・カイロス 2005年録音

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メキシコのグループによる、メキシコ産のCDです。バロックの声楽作品のアンソロジーです。こうした地理的広がりを目の当たりにすると、どこかとんでもないところから、クープランの散逸したほかのルソンがでてきたりする?かも。


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