「ピアノ・レッスン」のテーマ

まずは意外な正統邦題。ヤフーのレビューに。

邦題について。
最初は余計なことしやがって、って思ったんですが、監督のインタビューによれば「私は’ピアノ・レッスン’にしたかった。でもアメリカの戯曲に既にその題名のもの(’The Piano Lesson’:1987)があって、その権利が得られなかった。だから(英語圏では)タイトルの’The Piano’を了承した。でもヨーロッパでは〈権利の問題はないから〉タイトルは’ピアノ・レッスン’にする」なんだとかで、邦題の方が正統なんですね。オリジナルの脚本も題名は’The Piano Lesson’なのです。というわけでカンヌ受賞のときの題名は’La Leçon de Piano(ピアノ・レッスン)’なんであります。

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1993年の「ピアノレッスン」の映画音楽はマイケル・ナイマンが作曲しもてはやされました。中でも「楽しみを希う心 (The Heart Asks Pleasure First)」は有名に。

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ごく最近でも、ゴーティエ・カプソンのアンコールピース集に。

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1995年にラルーとノーマンが録音しています。「ララバイ・ジャーニー」という子守唄CD。「Gloomy Winter's Now Awa'」というタイトルで。「憂鬱な冬の今」?くらいの訳かしら。過去記事のとおり、不思議なCDでした。そこに「ピアノレッスン」のメロディを発見してうれしくなりました。

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すっかりナイマンの音楽だと思っていたので、当時はいろいろな人に勧めた記憶があります。しかし、先般メーヘレンのベートーベンのスコットランド民謡を聴いていて、改めて聴き入り、そしてもちろん民謡ですからベートーベンの時代から存在していたメロディでした。ウォルター・スコットの詩がついています。あわてて何人かサラってみました。フィッシャーディスカウ。ゲルハーエル。アレン。ボストリジ。低めの声が多いみたい。古楽器は1990年代にクイクシルバーのソプラノ、ビルスマ夫妻とホホランドの伴奏。 リンダ・サトサニス(Linda Tsatsanis)、ミュラー。

メーヘレンの声はわたしには相性が好く耳に残ります。

“Sunset” Libretto from Sir Walter Scott:

The sun upon the Weirdlaw Hill,
In Ettrick's vale, is sinking sweet;
The westland wind is hush and still,
The lake lies sleeping at my feet.
Yet not the landscape to mine eye
Bears those bright hues that once it bore;
Though evening, with her richest dye,
Flames o'er the hills of Ettrick's shore.

With listless look along the plain,
I see Tweed's silver current glide,
And coldly mark the holy fane
Of Melrose rise in ruin'd pride.
The quiet lake, the balmy air,
The hill, the stream, the tower, the tree,-
Are they still such as once they were?
Or is the dreary change in me?

Alas, the warp'd and broken board,
How can it bear the painter's dye!
The harp of strain'd and tuneless chord,
How to the minstrel's skill reply!
To aching eyes each landscape lowers,
To feverish pulse each gale blows chill;
And Araby's or Eden's bowers
Were barren as this moorland hill.

ベートーベンの編曲は終結部が、素晴らしいと思います。

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