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笑うバロック展(330) アイドルを探せ どうぞ最後までゆっくりとお楽しみください

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ただただプレイヤにかけて、聴きながらホーッと感心しつつ、時々プッと吹き出しつ。
解説も読みごたえがあります。
どうぞ最後までゆっくりとお楽しみくださいね----としかいいようがありません。

最高に「ご機嫌な」CD。ウクレレ・シリーズが始まって、リコーダーアンサンブル好きからは距離が遠のいたといわれたりしていましたが、今回のアレンジの妙を聴いていて、はたと思い当るCDが----引っ張り出して聴いてみると、おそらくこの路線で間違いなさそうでした。それは、デビッド・マンローの残した「ふたつのルネサンス・ダンスバンド」というもの。スザートの「ダンスリー」の抜粋と、モーリーの「ファーストブック・オブ・コンソート・レッスンズ」の抜粋を組み合わせた盤。微妙なヘタウマ加減まで見事に継承している?のではないかしら。

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映画音楽アレンジの妙技 うますぎ!!_マンローも芸達者だったので、ダンスリーでは、リコーダーとショームを持ち換えながら、ザックバットを従えたり。栗コーダーがイシイのハンバーグに使ったロンドなどそっくりで、微笑みながら、そのオマージュの真摯さに涙がでます。マンローの柔軟さは、後輩たちからは比較的否定的に捉えられていると思いますが、ガラパゴス的よさが、日本の風土と相性が良いのか、素晴らしい末裔を育てました。アイルランドにも渡らず、地中海にも行かず、大西洋を越えてラテン世界にも雄飛せず、いきなり日本に降臨した感じです。ボルティモア・コンソートにしても、サバールのエスペリオンにしても、トラジコメディアにしても、あまりに鮮烈に上手が過ぎます。もちろんマンローたちが一番ポピュラー路線だった、ということなのでしょうが。あのウォームなところ、少しドライなところ、それでも忘れないユーモア、いうなればマンローは、モンティパイソンだったのでしょう。栗コーダーの継承具合とそのオマージュを感じとって、もしかしたら間はモンティバイソンでつながるのでは、そんな連想を思いつきました。
もしかすると、鈴木俊哉さんの現代曲への取り組みや、彼自身の現代作品の編曲もモンティパイソン的なのかも。(違っていたらごめんなさい)。ブリュッヘンのユーモアのミームを継承したのが俊哉さんなのでしょう。多くの奏者はブリュッヘンや彼の仲間たちが再発見した宝を消費している場合が多く、でも根源的に楽譜から具現化する複製芸術なので目立たないようですが、果たしてどこまでプロのクリエイトだといえるか。そう思うと俊哉さんは、「再発見する」行動そのものの継承者になった、といえそうです。もっとも彼は現代と未来から発見をする人ですが。
とはいえ、ブリュッヘンたちの起こした大きな運動が、大勢を占める中で、ともすると忘れられそうなマンローの「再発見する」語法を継承してくれた栗コーダーたちには、感謝したい気持ちで一杯です。

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