バロック音楽の実演を聴く「バッハを歩かせたアーベントムジークの作曲家」2019年2月

あのバッハを徒歩旅行で呼び寄せるとてつもない魅力と説得力があるブクステフーデの受難節の名曲。
3000円という良心的なチケット代にも関わらず、参集したのは50人ほどの熱心な聴衆。これでアガリが15万はないよねえ。しかし、これが厳然とした日本のクラシック音楽の「民度」です。学生は1000円。上野学園の学生のレベルも気になります。過去に目を閉ざすものは未来に対しても、と思ってしまう。きっと指導する教員側の姿勢も、西洋音楽に携わるなら、受難節近くに受難節の名曲ぐらい聴いておきましょうと、いってもよいような。
うーんチケットの10枚くらいパトロネージュしてあげたいところですが、当方「もう我々には遊星爆弾を防ぐ力はない」です。

画像1


演奏は声楽5名、器楽5名。あと学生が途中で3名加わり。冒頭に小林英之先生のオルガン独奏つき。
本作品、生まれて初めて買って聴いたブクステフーデでしたっけ。「何もかもみな懐かしい」です。そして、生まれて初めて聴く音楽の何と多いホールだろう。
櫻井体制の上野学園古楽研究室を久しぶりに聴いて、感涙。血の通った受難節の音楽だと思います。ブクステフーデの音楽は厳しい内容でも体温が感じられる音作りではないかなあ。
牽引する櫻井先生のガンバの音は決然として朗々と響いていました。トップのバイオリンが脆弱に聴こえ。バッハゾリステン・ソウルの歌はちょっと硬質に聴こえましたが好感。いつかソウルで聴いてみたいもの。
韓国の歌手たちに日本語で「血潮滴る」とコラールを歌わせてアンコール。民間レベルの交流は一歩一歩進んでいます。文化の交流が交雑にならないよう注意が必要だとは思いますが。次代象徴の学友でもある櫻井先生にとっても新しい時代になることを祈ります。

2019年2月25日(月)【上野学園 石橋メモリアルホール】にて。
上野学園大学・古楽研究室演奏会~バッハゾリステン・ソウルを迎えて
D.ブクステフーデ 我らがイエスの四肢

画像2

ちなみに「われらがイエスの四肢」はコープマンが1987年に録音していて、ほぼ初録音に近いかと(卒業したばかりくらいのヒレ・パールの名も)。作曲家の生誕350年と関係があるかも。コープマンは没300年にちなんで全曲録音を行っています。精力的というか、情熱家というか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?