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笑うバロック(616) 大丈夫大丈夫、戦すごろくのエリザベト [57候補]

2022年6月、アンサンブル・ネバマインドのウィグモア・ホールライブ動画。英語の解説だと、タイトルが「Backgammon of War」。何のことやら、で検索を進めていくと、エリザベト・ジャケ・ド・ラ・ゲールのコンサートでした。
ウィキによると「楽器職人の家系ジャケ家の出身で、似たような生い立ちを持つオルガニスト、クラヴサン奏者のマラン・ド・ラ・ゲール(Marin de La Guerre1656-1704)と結婚したため、このように長い姓となった」とのこと。グーグル翻訳に、「ジャケ」と「ゲール」を分けて打つと「バックギャモン」と「ウォー(戦争)」と。

ウィグモアのサイト

小節線のないプレリュード。
ロンドーくんはもちろん「大丈夫」です。

1959年のレコードから取り上げられ。ダートのテキパキした演奏は、例えばド・ラ・ゲールはヘンデル、バッハ、スカルラッティには、まあ聞こえません。
ヴェルレも録音しています。楽器の音色やヴェルレの節回しというか不均等のつけ方というか自信満々に聴こえます。残響をきちんときかせているのだとは思うのですが、それよりもっと無音を楽しんでいる、という風に。

聖書題材のカンタータ集。



2声のソナタなのかしら。鍵盤独奏、上声と鍵盤、高低2声と鍵盤というパターンでも活かせる作品集。販売資料には「ルイ14世がフランス生粋の音楽を推進しイタリア音楽が迫害されていた頃の1707年、彼女はこのイタリア風ソナタ集を国王の御前で披露するという大胆な行為をみせましたが、国王はその仕上がりを大いにほめたたえたと伝えられています」とのこと。
ブイスーの252では、バイオリンと通奏低音のためのソナタ、聖書題材カンタータの項で名をあげています。


国王を寛容に、いや謙虚に、そんな風にさせる音楽、でもそんなにスゴイ個性があるかといわれれば、どうだろう。ふと、あとの時代のもう一人のエリザベト、エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブランあたりが思い浮かんでしまいます。
もしかすると、もっと大勢エリザベトはいたのかもしれません。雇主と相性好く重用され、生きながらえて名が残ったエリザベトがふたりいた、ふたりだけ残った、なのかも。作品数が限られるからなのか、録音は思いのほか存在します。


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