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ポンさんの料理がファミリーフードです

2019年4月。
ポンさんのカオソイ。どんぶりラーメンを思い描いていたら、裏切られました。相変わらずここのシェフはきちんとした料理しか作れない、のです。カレーは少なめですが、骨付きの鳥肉が3つ。それから季節の始まったマンゴーをいただきました。


奥ゆかしいポンさんの料理の深い奥行。
滋味深いサイコー。すましスープのセンヤイ。ひと匙ごとに体内の汚れが清められるかのようなスープ。もち米バナナ、ササゲ豆入り。

美味しいクイチャイ、ニラの揚げ餃子といった方がよいかも。つけタレも美味しい。中身の蒸し加減も好い。
センヤイ太麺の醤油焼きそば。醤油の染みこみが美味しい。野菜もエビも美味しい。シメは、バナナちまき。

もはやこれが「我が家の味」です。
わたしの実母は早くに母親を亡くし、姉が働きながら育てました。いわゆる家庭の料理は伝わりませんでした。
わたしにとっては、インドやタイの料理の方が、高校生の頃から身近に親しんだ、ということになります。
とはいえ、今の台所の必需品にはナンプラーはなく、シーズニングソース、シラチャーソース、スイートチリソース。
久しぶりに古いタイ料理の本を開いてみて、豆腐のスープの材料を見ました。
鶏ガラスープの素とかコンソメの素は市販品を使い、叩いたパクチーの根と。10年くらい前はパクチーの根が思いのほかスーパーになく。最後にニンニク油と冬菜をハラハラ。冬菜は、壺に入った中国製の古漬け、天津冬菜というのを買いました。
わたしにとってのタイ料理は、ナンプラーもココナツミルクも、まあなくてもよいものに。このふたつの匂いがタイ料理の特徴のように言われるのには違和感をおぼえます。


タケノコのサラダ。たしかタケノコはノーマイ。不思議な味だなあと、どうもタケノコは漬け物にしたものみたい。最近ミントがのっています。梅雨時にはさわやかで好いです。
ゴイシミーは、揚げた中華麺の五目餡かけ。
最近は検索すると次のようなことまでわかります。すごい時代。知るほどに、シェフの腕前がいかにしっかりしたものかが分かる気がします。

「街かどタイ料理」ブログ。「ゴイシーミー」ってのは、たぶん中国語だと思う。中華系タイ料理は潮州由来の食べ物が多いんだけど、この料理は広東由来の料理。香炒面(コウシャンミェン)が訛ってゴイシーミーになったようだ。ゴイシーミーはセンミーをから煎りして上から具材をかけたものと、ミークローブ(揚げ麺)の上に具材をかけたものと、2種類あるらしいんだけど、揚げ麺(堅焼きそば)のバージョンの方をよく見かけるかな。センミーをから煎りして、具材をいっしょくたに混ぜて中華風焼きそばにしたものはパットミーホンコンって呼ばれることが多いと思う。広東由来の料理なので、日本人には非常に馴染みやすい…。

味覚の調律しなおし。
こうしたことは、わかっていてもなかなかできません。
わたしはとにかく調子が悪くなったら、イサーンでポンさんの料理を味わいます。
ニラ焼き饅頭。グリーンカレー。素麺。モーケン。
口のど、おなかの具合がなんとなく回復してきます。
餃子の王将で、あんかけ焼きそばや炒飯を食べた日は、夜寝ているとき口で息をして口の中がカラカラに乾きます。

ネームと醤油焼きそば。唐辛子は4本は食べましたが、あと5、6本は残しました。さすがに口の中が痛かった。しかし、焼きそばを頬張ると痛さが消えてちょうどよく。それにしても、ショウガもピーナッツもレタスも、すべて美味しく感じました。

失敗から回復するには、辛い時の辛いもの。
1 まず 逃げること
2 誰かに愚痴を言うこと
3 ぐっすり眠ること
そして、 4 おいしいものを食べること。
ミス・ジコチョーの中のセリフ。
いつもより混んでいるイサーンで、サイコーとセンレックナム。唐辛子も全部食べました。
角の席でハーブ鍋をたのんだ4人組。クスミはクスミは----と聞こえてきます。
「孤独のグルメ」に出たらしい。見逃しで拝見。シェフは本人役でしたが、社長はなぜか役者さんが。きちっと雰囲気をとらえた名演技でした。タイ語はカタカナにしたとき、濁点がつくのかつかないのか微妙です。チムチュムかジムジュムか。イサーン鍋で好いのでしょう。
イサーンは引っ越してよかったみたい。
前回は、9時ころ訪店。わたしの次のお客様は若い女性がひとり、サッと入ってきてキッチンに声をかけ、注文着席という具合。
ポンさんご夫妻は、バブリーな楽な老後でなく、かたく身の丈に合った楽しい老後を選んだに違いありません。
「辛」と「辛」、「楽」と「楽」ねえ。


2020年1月。

ごろうにはもったいない店です。ちょっと高めだけれど、下敷きの野菜まで美味しい。ラープの下のキャベツのうまいこと。硬いの芯の部分までアマイものでした。あとバジルとかミント類がオイシイのです。何とか農園さんの----なんていわないけれど、滋味豊かなんです。
いつも厨房からゴツゴツとすり鉢の音がしています。


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