笑うバロック展(225) 「悪魔のトリル」のロマン

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ルイ=レオポルド・ボワイー(1761-1845)作。フランス革命を跨いだ画家です。ボワエルデュの肖像を描いた様子。

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おそらく同じボワイーの別版ではないかしら。セルジュ・ルカは早くから独自二刀流実践の人。1978年頃の録音とは思われない古楽的な豊かさを感じさせます。1971、2年頃のメルクスあたりのちょっとギラギラした感じからは遠いかも。

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19世紀のジェームス・マーシャルl(1838-1902)というあまり有名でない画家の「タルティーニの夢」。メルクスの初期の盤とパラディアンが採用。

ジャケットには使用されていませんが、19世紀の作品例。

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下はおそらく20世紀の例、出自不明。

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日野日出志先生のインタビュー。

「ホラーというのは、想像力の賜物なんです。余計なことを考えすぎるから、新しいホラーが生まれる。そして、想像力が働いているもんだから娯楽としても楽しんじゃう。余計が生み出した文化、それがホラーや怪談でしょう。だから、ホラーがすたれるときは、人間から想像力が失われたときだと思うんです。そんな世界が訪れることになったら、それこそ笑えない。ホラーが親しまれている世界は、豊かなんですよ」

いまはlineスタンプにもなってます。

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ちなみに前稿であげた木村理恵さんが、日本人で初めて「悪魔のトリル」を古楽器で取り上げた人ではないかしら。物々しい標題付きの派手な技巧の曲なんて、テクニックのカタログ販売みたいな俗っぽさがある、とそう思っている人は、その人自身が陥穽におちいっているのでしょう。

前述のセルジュ・ルカについて。バッハの無伴奏バイオリン全曲をタルティーニの前年1977年に発表しています。世界初録音ではないかしら。「今となっては化石」とのこと。「ひび割れた骨董の壺」発言に似て感じます。わたしは、「骨董の壺」も「化石」も好いと思います。

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