笑うバロック展(3) 「バロック指揮の歴史」

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バロック音楽の指揮は指揮棒を使う人が少なかったです。
理由は、もしかするとキャリアがいわゆるオーケストラの棒振り専門でないことに起因かしら。
左上は合唱指揮の本から。そもそも合唱専門の指揮者はオケ指揮者とは手の動きが違います。
さらにいえば聖歌専門の指揮者はまたクネクネと違う指揮をします。
左2段目は、レオンハルトがストローブ、ユイレの映画でバッハを演じたときのスチール。
左3はレオンハルトのバッハカンタータ全集で合唱担当だったヘレウェッヘ。
左4はカウンターテナーのルネ・ヤコブス。
右上は鍵盤出身のウイリアム・クリスティ。
右2段目は同じくトン・コープマン。
右3はチェロ出身のニコラウス・アーノンクール。
右4はリコーダー出身のフランス・ブリュッヘン。
指揮棒振りとは違う入りと出の仕草に特徴があり、両手の指先と口の形まで使って指揮します。動画で観ると実に不思議です。
以前、斎藤秀雄の評伝を読んで、斎藤が著すまでいわゆる棒の振り型の教本はなかったようです。
ふつうは、各人各様助手に付いた師匠を見様見真似で振っていくらしい。指揮者の仕事は棒を振ることだけではないので当然といえばそう。オーケストラがおおよその国際規準が錬成編成されて、指揮法もおおよその規準はできた、つまりよく見える高さや位置から棒を振って合図を出す、程度の。動画で比較鑑賞できるようになって観ると、やはりクライバーなどはいかにもカリスマオーラを放っています。とはいえカラヤン、バーンスタイン、ジュリーニなどみな個性的立ち姿。ゲルギエフあたりまでで、アバド、ラトル、ドゥダメル辺りまでくると、メソッドがあるのかもと思えてきます。斎藤秀雄の弟子たちが思ったよりも、みな銘々なのがかえっておかしいかしら。
そうした中では、バロック音楽の復興を担ってきた使命感あふれる世代の指揮ぶりは、独特ながら、共通する通奏低音が響いている感じです。

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