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笑うバロック(666) ペネーロペに感謝

ポッペアの最後のデュエットが印象的で、そちらを聴くことが多かったのですが、ウリッセも同様に幕引きはデュエット。ペネーロペは声が低いので、地味な印象かしら。
出征した夫が無事復員し夫婦が再会する本当のハッピーエンド。好い話なのに、人間という生き物は、ついつい悪い夫婦とわかってもポッペアの方に惹かれてしまいます。
切抜録音もポッペアほどはヒットしませんでした。ディドナートが戦争と平和をテーマしたCDでとりあげたくらい。

シュターデのペネーロペ。1992年のグラインドボーンの録画。最近の様々な工夫が凝らされた古楽のモンテベルディと比べると、変な例えですが「立派な」演奏に聴こえました。堂々として威厳があるイタカの王の妃。「コシファントゥッテ」ばかりではない、というお話。
仕事から帰宅して、共働きの仕事からもどった妻が「ふろ、めし」後、食卓で座ったまま老猫のように動かない姿を見て、ペネーロペの苦節の物語はすこし損だと、感じました。とはいえ、齢をとったわが家のペネーロペは、シュターデの歌声の方に寄っています。毎日お仕事お疲れ様です。

すこし惚気るために「バロックオペラ日本語訳ノート」から引用させてもらいます。

待ち焦がれた太陽、再び見出せしみ光よ、
それは平和で静かな愛の港。
あなたに憧れ、あなたを慕う、愛する人よ。
数多の苦しみの中で祈ることを学んだ、
けれど、もうその苦しみを思い出すこともない。
全ては喜びなのだから。
そう、そうだとも、我が命の君よ!
痛みに満ちたあの感傷、この胸を去る。
全ては喜びなのだから!
そう、そうなのです、我が心の人よ!
喜びの今日が、歓喜の明日がこうして戻った。
そうとも、我が命の人よ!
そうです、我が心の人よ!

天よ輝け、野よ花咲け Illustratevi, o cieli

1954年映画では、カーク・ダグラスとシルバーナ・マンガーノが演じました。

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