笑うバロック展(253) アイドルを探せ 美学専攻、小穴晶子氏

ラモーの専門家ブイスーの名著「バロック音楽を読み解く252のキーワード」の翻訳者、小穴晶子氏。「バロックの魅力(編著)」東信堂2007年3月。「なぜ人は美を求めるのか」ナカニシヤ出版2008年8月。「バロック音楽を読み解く252のキーワード(翻訳)」音楽之友社2012年10月。

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多摩美の美術学部共通教育教授として美学とフランス語を担当。

2006年「グローバリゼーション状況下における芸術の論理と倫理」に論文「18世紀フランスの音楽思想における世界市民主義と国家主義」寄稿。

グローバリゼーションの状況は、「国家」と「国家を越えたもの」との関係を我々に考えさせる。本論文はこのような観点から18世紀フランスの音楽思想史を分析したものである。18世紀初期のレセール・ラグネ論争、中期のブフォン論争、後期のグルック・ピッチーニ論争の3つの音楽論争を分析し、次第に国家主義的な考えが超克され世界市民主義的な考えが台頭してくる有様を示した。また、これと並行する音楽史は、バロック時代のイタリア、フランス、ドイツなどの地域特有の音楽が融合して全ヨーロッパ的な様式となって古典派が誕生する過程であり、両者の関係についても考察している。

2008年フランソワ・ラブレー大学、現在のトゥール大学で発表。「18世紀の『キャラクター』概念、シャパノンとケルナーの比較」。シャパノンという人物についてさらに調査を進めている様子。

西洋音楽史における18世紀後半はバロックから古典派に時代への転換点を示している。C.G.Körner(ケルナー)はドイツ語圏において古典派の音楽観をいち早く示した思想家として知られている。本論文ではフランスの音楽思想家M.P.G. de Chabanon(シャバノン)の思想がケルナーの思想に及ぼした影響を考察した論文である。両者の思想においてキーワードとなっている「キャラクター(性格)」概念の共通点と差異を軸として考察し、影響関係と同時にドイツ語圏とフランスの音楽思想の微妙な異なりをも明らかにした。また、音楽の自律性を重んじる19世紀の音楽思想の先駆となっていることをも示した。

わたしは周囲から、美意識がないとよくいわれます。まあ、自分なりに予算の範囲で気を使っているのですが。「バロック時代のイタリア、フランス、ドイツなどの地域特有の音楽が融合して全ヨーロッパ的な様式となって古典派が誕生する」とか、ギャラントな時代の架け橋音楽のファンとしては、この方の発言はカッコ好い。


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