笑うバロック展(400) 奪い愛「ベニスの愛」

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原題Anonimo Veneziano
監督エンリコ・マリサ・サレルノ
音楽ステルヴィオ・チプリアーニ、ジョルジョ・ガスリーニ
出演フロリンダ・ボルカン、トニー・ムサンテ
ベニスの駅。学生時代に結婚したが別居中のムサンテとボルカンは再会。才能あるオーボエ奏者でオーケストラの指揮者を目指す男は結婚が障害と感じる。歳月を経て再会の日を迎えた二人は衝突する。彼女が発した、あなたなんか死ねばよかった。男は余命短い宣告を受けていた。その事実を知り後悔する彼女と愛し合った男は、最後の録音のため古い教会に向かう。

ここで録音するのが、マルチェッロのオーボエ協奏曲の緩徐楽章。

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映画「ベニスの愛」は1970年製作公開で、翌年「ベニスに死す」が製作された由。マルチェロとマーラーは対のアダージョだったようです。演奏を検索すると、Concerto in do minore per oboe e orch. d'archi adagio · I Filarmonici Di Milano, Alessandro Ferrero アレッサンドロ・フェレッロというオーボエ奏者のハ短調版らしい。1971年にはバロックアルバムとしてもLPがでています。ご丁寧にマーラーと組み合わせられたLPもあるみたい。フェレッロ氏は検索人相不明です。

映画については詳しいブログあり。

----そして、自宅にスタッフを集めて、サレルノ監督はある音楽を聴かせ、この曲を作品のモチーフにすることを伝えます。その曲が、ラストのオーボエによる演奏曲《Anonimo veneziano》すなわちアレッサンドロ・ マルチェッロのアダージョでした。

二匹目のドジョウたち。

ポール・モーリア版。ただマルチェロでなく、チプリアーニの映画のテーマ曲。現実には「ベニスの愛」というとチプリアーニの作品でなく、マルチェロのオーボエ協奏曲をさすことが多くなっていると。

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旅情を掻き立てます、当然ですな。

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こうした映画のクラシックLPがでるくらい盛んな時期でした。

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1972年アリオンからマルチェロ兄弟のみの作品集。リュシャン・ドゥブレイ(Lucien Debray)による録音。

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ピエルロとフロマン1960年頃。パイヤールとも。

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ホリガー、ネグリ。

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ホリガー、イムジチ。

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ジャン・クロード・マルゴワールはオーボエ奏者でした。

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シェレンベルガー、イタリア合奏団。

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歴史的録音は1953年、ロジャー・リブ―シー(Roger Reversy )独奏アンセルメ指揮。

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レオン・グーセンスは1967年。

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作品そのものは、筆写の際にハ短調に移されたものが、ベネデット・マルチェロの作品として伝わったルート、バッハによる鍵盤独奏用編曲はニ短調で原典に近い様子。バッハ編曲の装飾旋律は、モダン・オーボエで再現するには支障なく広まりました。バッハはビバルディ作品とマルチェロ作品を分けていましたが、のちの誰かが12曲セットのビバルディ作品の編曲にしてしまいました、とさ。

1980年にブルース・ヘインズがニ短調版を。以降古楽系の「名曲集」に含まれることが多くなります。

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モワネ嬢は古楽器と協演で。いつもの色香を封じられて、いや失礼、音楽はきちんとしていました。ドイツ語流暢に聴こえました。

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そして最初に戻ったような、演奏風景が。昨今のはやり鍵盤二刀流も取り入れて。小池知事の言う接待を伴う飲食の店のように見えなくもありませんがご愛嬌ということで。素晴らしい奏者たちですが、肩に力が入りすぎではないかしら。

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