疫下の実演の記録、祈りの記録アンブロネ・フェス2020

ライブストリーミングのアンコールは、第3ルソンのエルサレムよ立ち返れ、を。願いのこもったアンコールらしいアンコール。そういえば、上野学園のルソンの演奏会でも、同様のアンコールのときがありました。上野学園は立ち返れなかったようです。上野学園は山手線の線路の外側、つまり下町に位置する唯一の音大でした。東京の下町が失うものは、ずいぶんと大事なものではないかと思いますが、100分名著「ディスタンクシオン」の岸先生の話を聞くと、これも社会の規定のレールのうちなのかもしれません。少子化より階層社会化の流れなのかもしれません。

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アンブロネ・フェスFestival d'Ambronay
Leçons de ténèbres de Couperin par Les Arts Florissants & William Christie à Ambronay 2020

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2020年9月26日ライブストリーミング

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グエンドリン・ブロンデールGwendoline Blondeel, レイチェル・レドモンドRachel Redmond sopranos
Les Arts Florissants :
ミリアム・リノルMyriam Rignol basse de viole
William Christie orgue & direction

ブロンデールはベルギーの若手ソプラノ。レドモンドはグラスゴー出身と。リノルは1988年生まれペルピニャン出身。リヨンでミュラーについた様。山梨国際古楽コンペ(日本2010)1位の人。

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クリスティ自身のCDと比べると歌手は端正で楷書風。その代りクリスティのオルガンとリノルのガンバがまるで即興のように序奏、間奏を足して。オルガンの序奏はクリスティの即興かしら。ガンバはドマシーのニ調プレリュードとサントコロンブのニ調シャコンヌ、無伴奏独奏で。演奏は技巧的なのに厳粛な雰囲気に。リノル女史、上手な人だと思います。

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思いのほか疫禍に荒廃したヨーロッパ。ベテランと若手のクープランは少し希望の光。第2波3波というけれど、先日のロンドンのフィデリオカフェのイサーリスのバッハといい、前向きにさせる体力が羨ましい。

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