アイドルにしてレジェンドな同級生は日本語でしか歌わない

不思議な役者さんです。デビュー当時からずっと、「あまちゃん」の時も今回も、その歌唱が話題になる。

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当初の台本では、薬師丸ひろ子さん演じる光子が、「戦争の、こんちくしょう! こんちくしょう!」と唸りながら地面を叩くシーンであったが、薬師丸さんからは、ここは地面を叩くのではなく、賛美歌の「うるわしの白百合」がその場面に適当ではないかという提案があり、キリスト教考証として私が検証することになった。

この「キリスト教考証」の先生の検証がなかなか興味深いものでした。こういう設定で、ここを創作で補って----というもの。

2013年12月。

出張先でテレビをつけると、薬師丸ひろ子が歌を歌っていました。
同じ学年なので、同時代の人です。
角川全盛期で、「野性の証明」のオーディションの頃から何となく注目していました。角川の1ドル雑誌「バラエティ」はよく買いました。これには「中島梓のサインくれなきゃ帰らない」「マンションネコの興味シンシン」「大友克洋の饅頭こわい」なんかが載っていました。この雑誌の広告で「バイバイ・エンジェル」も知りました。
当然アイドルとしての薬師丸ひろ子は角川独占でした。
実物は2度ほど見かけました。1回は古い有楽座の前で何かの催しがあり、遠くに見ました。もう1回は小田急線の中でお互い通学途中に。
しかし、化粧映えのしない女優です。化粧すればするほど、鼻の穴が目立って正直ブスに見えます。普通にしていられない、というかステージ風のメイクが似合わないというか。
「野性の証明」は小説を読み、映画も観ました。今でもよくわからない作品です。一体あの作品はミステリなのかアクションなのか----考えようではレオンとかの原型?かしら。
本当の意味での初主演作は「翔んだカップル」でしょうか。「バラエティ」には石原真理子と荻野目慶子と3人(杉田かおると4人だったかも)でグラビア記事みたいなのがありました。原田知世などの後輩たちより、はるかに印象濃い3人です。単なる美人という点では石原の方が派手で、演技では「海潮音」の荻野目に及ばず、一体何が角川春樹の琴線に触れたのだろう?不思議でした。角川が目指す映画とは全く相いれないブレッソン映画の女優みたい。
そして「セーラー服と機関銃」。これも相米慎二を目立たせる感じ。赤川次郎原作のこれまた不可解な角川ストーリーとしか言いようがない物語。主題歌も、男の側からの歌を無理やり歌わせるもの。
「探偵物語」は多少面白く観たものの、やはりアイドルを映すアイドル映画の王道なのだと納得しました。これは主題歌も気に入っています。この翌年唐突に「古今集」というLPアルバムをだします。大学の同級生に勧められて聴きました。後年、竹内まりやの歌う「元気をだして」との違いに驚きました。
検索したら、「Langsamer Satz」というブログに「薬師丸ひろ子に思う」と。

彼女の歌は、何と言ってもその透明な声が魅力的。そして、折り目正しくて、一言一言、言葉をとても大切に歌う姿勢がいい。でも、私にとって彼女の歌の魅力は、彼女がただ歌うだけで、その歌のもつドラマなり情景なりを思い起こさせるところです。特に90年前後からの歌はどれもまさに「女優さんの歌」であって、歌詞とメロディから濃密なドラマが立ち昇る。中島みゆきの「未完成」、竹内まりやの「終楽章」、玉置浩二の「胸の振子」、上田知華の「風に乗って」あたりが好例で、もう短編映画を見るような体験をすることができます。----(中略)----歌だとか芝居だとかいう芸能において、懸命さはむしろ痛々しさや滑稽さへと変質してしまうことが多いのに、彼女のこの懸命さは胸にしみます。そう、その特質は彼女の歌手デビューである「セーラー服と機関銃」からずっと顕著だったのですが、今や彼女の懸命さはもう私たちの社会にあっては貴重なものかもしれません。今日の「あまちゃん」で彼女が歌う姿の凛とした懸命さはもはや気高さえ感じさせるものでした。

わたしも、少年合唱風な歌い方で、日本語の美しい歌を歌っているなあと、思ってはいましたが。上記の歌、聴いてみたいものです。
----聴いてみました。ほぼ完璧に外国語が不使用の歌詞ばかりでした。単語ひとつ使われていません。本人が選んだのでしょうか。若いころの中性的な立場の歌詞と歌い方と違って、女性がその立場から歌っているため、確かに女優的です。竹内まりやとの相性はやはりよいのでしょう。

しかし、本当にデビューから観ていました。お互い中二。意識して観ていたのですから、同級生というよりやはりアイドルでしょう。

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