笑うバロック展(261)　 1700年刊のクーナウの「聖書ソナタ」

クーナウ（1660-1722 ドイツ）の「聖書ソナタ（Biblische Sonaten）」（1700刊）。正式名称「クラヴィア演奏のための6つのソナタによる聖書の物語の音楽的描写（Musicalische Vorstellung einiger biblischer Historien in sechs Sonaten auf dem Claviere zu spielen）」。クーナウはライプツィヒ聖トーマス教会のオルガニストを務め、のちに教会付属学校の合唱長に就いた。J.S.バッハの前任者である。6曲は「ダヴィデとゴリアテの戦い」（8楽章）、「ダヴィデの音楽により癒されたサウル」（3楽章）、「ヤコブの結婚」（7楽章）、「瀕死のヒゼキア王とその回復」（3楽章）、「イスラエルを救ったギデオン」（単一楽章）、「ヤコブの死と埋葬」（単一楽章）。

ヤコブ・ファン・オスト（1603–1671）の「ダビデとゴリアテ」。

有名なレオンハルト盤は「朗読」つき。バット。クラウス。ボーセジュール。コルダーラ。アパーリー(アパレイ？)はオルガン版。

1999年にベルマンがピアノで録音。第2番「ダヴィデの音楽により癒されたサウル」。

1938年生まれブラジルのコンサートピアニスト、ホセ・エドゥアルド・ガンドラ・ダ・シルバ・マルティンスは、かなり特異な録音をしていますが、その中にラモーとセイシャスと並んでクーナウが。題材に惹かれるのか、ピアにスティックなのか。

第1番 「ダヴィデとゴリアテの戦い」
----聖書にある巨人ゴリアテの挿絵は----ゴリアテの空威張り----この忌まわしい敵を見たときのイスラエル人の慄きと神への祈り----ダヴィデの勇気、巨人の高慢な鼻をへし折りたいという激しい衝動、神への率直な信頼----ダヴィデとゴリアテの言い争いと戦い----ゴリアテは額に石を受けて倒れ、死ぬ----ペリシテ人の逃走、イスラエル人の追跡と剣による殺戮----この勝利を喜ぶイスラエル人の歓喜----ダヴィデを讃え、声を合わせて歌う女たちの音楽----ついにすべての人々が踊り、飛び跳ねて喜びをあらわす----

第2番 「ダヴィデの音楽により癒されたサウル」----神が神聖な動機に基づいて----サウルの悲しみと狂気----ダヴィデの奏でるさわやかな竪琴の調べ----ふたたび落ち着きを取り戻した王の心----

第3番 「ヤコブの結婚」----ラケルがヤコブの到着を…愛する従兄弟ヤコブの到着を喜ぶラバン家の人々----恋の戯れに和らげられるヤコブの苦役----ラケルの遊び友達が歌う婚礼の歌----結婚と祝いの言葉----ラバンの策略:ラバンは誠実な従兄弟である花婿の傍らに、ラケルの代わりにレアを行かせる----婚礼の夜、幸せいっぱいの花婿は心中なにか悪い予感がするが、すぐそれを忘れ、眠りに落ちる----策略に対するヤコブの苛立ち----ヤコブの新しい結婚の喜び、すなわち前の部分の繰り返し----

第4番 「瀕死の重病を患い、恢復したヒゼキア王」----信仰深い人々には種々の大きな約束事が----死の予告に暗然たるヒゼキア王の心、コラール≪ああ主よ、哀れな罪人なるわれを≫からの詩句≪われを癒したまえ、愛する主よ≫を----神はその祈りをすでに聞きとどけ、健康を戻し、敵からの安らぎをも与えたもうというヒゼキア王の確信が、前出のコラールからの詩----病気恢復の喜び、ヒゼキア王は時折以前の病を思いだすが、すぐ忘れる

第5番 「イスラエルを救える者ギデオン」----我々は、しばしば、自分に値しない名声を----神がなされた勝利の約束に対するギデオンの疑い----敵の大軍を見たギデオンの不安----敵の夢とその解き明かしを聞いてわきおこるギデオンの勇気----ギデオンは兵士たちを激励する----喨々たるトロンボーンとトランペットの響き、水瓶の砕け散る音と戦いの雄叫び----敵軍の逃走とイスラエル人の追撃----イスラエル人の目覚ましい勝利の喜び----

第6番 「ヤコブの死と埋葬」----臨終を迎え、平和のうちに----愛する父の死の床にはべるイスラエルの子らの揺れ動く心は、父の祝福によりいくぶん鎮められる----ヤコブの死を悼むイスラエルの子らの悲しみとその結果起こることへの憂慮----エジプトからカナンの地への旅----イスラエルの埋葬とそのときに起こる激しい嘆き----後に残されたものの慰められた心----

おそらく世界初録音はコリン・ティルニー。1960年リリース、モノラル。下は1997年にでたシルヴィア・ゲオルギバ(？)のもの。クーナウの「聖書ソナタ」は表記の言語によって検索結果がかなり変化します。