2010年6月11日、23年ぶりのツィメルマン

わざわざ横浜のホールまで出かけました。
我先を競ってのブラボーとスタンディングオベーションの嵐。参りました、降参です。
ピアニスト当人は、わたしの完璧なプログラムに、アンコールの文字はありません、といわんばかりのお辞儀を繰り返し。なんだか、しらけた演奏会という感じがジワジワ迫ってきます。
憮然と拍手もなしに聴いているわたしのほうが、あの会場では異質でした。
何かおかしい?本当によい演奏だったのだろうか?
ツィメルマンは、アムランのように「ターミネーター・ビルトーゾ」と呼ばれるのがよほど不名誉なのかしら?
ピアニストって、もっと薄っぺらな、指が回って仕方がないビルトーゾでいいのではありませんか。その方が、リストからの伝統でしょうに。大手と契約しているピアニストは、レパートリとその演奏スタイルを、誰とも違う消去法で演奏録音するように求められているかのようです。 それでも軽薄に思われるレパートリは避けたいと思っています。ツィメルマンにとってショパンのソナタがそうなのかも。
家へ帰って、お気に入りのカサドシュのショパンのCDをだして、ロ短調ソナタの4楽章を聴こうとしたら、ソナタの直前にライブ録音のバラードが4曲収録されていて、その第4からスタートすると、ちょうど今夜の後半のプログラムになりました。偶然なのかしら----演奏まで似て聴こえてきます。
件のロ短調の4楽章が本当に似て聴こえたので、ひっぱりだしたのでした。音の団子具合とか、スケールの目立たせ方や低音のリズムをスタッカートぎみに叩いたり。
こういうヤナ客が多いと予測して、演奏を組み立てているかもしれません。
前回聴いたとき、初めてリストのソナタで感動をもらいました。ペダルを踏む靴音が結構響いて、なんともデモニッシュな雰囲気を作っていました。
弾けるのに、安売りすると早いとこ「ヒビの入った骨董の壺」と呼ばれてしまいそうです、かしら。
なんともどこで拍手してよいやら?久々大物の名曲コンサートで、緊張して楽しめなかったのかも。
隣のおばさまたちが趣味のコーラスの楽譜かなにか見ながら「キリエってラテン語よ」 なんて囁きあっている----ギリシャ語じゃなかったかしら。

スタインウエイで2000人のホールで演奏するショパンの難しさでしょうか。
いずれにしてもこちらが年をとって素直に喜べない感じです。あれで拍手はできない、です。ロ短調ソナタの4楽章だけがまあ「まし」。B席9000円がもったいなく感じました。当日券あり----席も空きがあるのも肯けるような。
吉田先生も心配してました。

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≪Program B≫
ショパン:ノクターン第5番 嬰ヘ長調 Op.15-2
Chopin: Nocturne in F-sharp major, Op.15-2

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」 
Chopin: Piano Sonata No.2 in B-flat minor, Op.35

ショパン:スケルツォ第2番 変ロ短調 Op.31
Chopin: Scherzo No.2 in B-flat minor, Op.31

ショパン:バラード第4番 ヘ短調 Op.52

ショパン:ピアノ・ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58 
Chopin: Piano Sonata No.3 in B minor, Op.58

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