笑うバロック展(305) レジェンド探索 未だ見ぬブロードサイドバンド

おそらく来日公演などはないかと記憶しています。面白いグループなんです、誰か招聘してほしかった。

「ジョン・ゲイの乞食オペラ・アリアとその原曲」という衝撃の名盤。ジャケットのホガースの版画とは裏腹に庶民から歓迎されヘンデルを駆逐したバラッド・オペラを学術的でありながら、楽しく紹介しました。ハルモニアムンディからルネサンス舞曲のシリーズを2枚。厳密なルネサンスの様式でなく、バロック期の宮廷でも劇場でもない、遅れて浸透した庶民層の様式を意識した演奏でした。2段右は「ジョン・ゲイの乞食オペラ」の全曲盤。このオペラはブリテンが編曲リバイバルしたり、ローレンス・オリビエ主演で映画化されました。オリジナルはLD時代にガーディナー版がありました。もちろん、このゲイの原作を基にブレヒト/ヴァイルが「三文オペラ」に発展させます。歴史的に長く継続して支持されるストーリーということを証明し
ていることになります。

その後も、プレイフォードの再発見リバイバル、シェイクスピアに関わる音楽、ナショナルソングを取り上げ、イギリスで好まれた音楽やメロディがどんなもので、どんな経路で現在の形になり、今も親しまれているか、それを支持した無名の市民の目線で表現している、そんな風に聴こえます。それが斬新でなかなか他の演奏家には求められない高いオリジナル性を感じさせました。プレイフォードは、アマチュア・リコーダー奏者にとってギースベルト教則本の練習曲で親しみ、しかし得体の知れない名前でした。それに血肉を与えたことになりました。バーロウは、「プレイフォードのダンシング・マスター」の校訂譜も出しています。

バーロウは「乞食オペラ」で取り上げた「水車小屋の女の子」というフォークソングの器楽変奏にスコットランドの図書館にあるオズワルドの版を使用しました。(バルサンティやマテイスの編曲があります。ハイドンも編曲を作っています)彼の好奇心はとどまることなく、このオズワルドの「四季の歌」という曲集を校訂譜をだし、その録音盤を作ります。わたしの知る限りこれ以降、オズワルドの商品価値が高まり、クリス・ノーマンなども取り上げていきます。最近の日本では、ガンバの演奏会で取り上げられたり、アパラチアのフォークの認知に伴ってダルシマーの演奏で取り上げられるようになっています。

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