笑うバロック展(234)  Amazon殿堂入りレビュアー氏のクヴァンツ協奏曲評

すごい世界があるものです。Amazonで5000件のレビューを書くのは、やはり「裕福」なんでしょうねえ。
クヴァンツは名のみ有名で、実際にはなかなか聴けない作曲家。協奏曲300曲。でもバッハのカンタータ200余曲とそんなに違うかしら。あまり聴かなかったCD。聴いてみるとかなり良い。改めてAmazonを検索したら下記の方のレビュー。あまりお詳しく驚倒、再録させていただきました。
この盤、演奏家の名前がまず読めません。「CSALOG」。「カサログ」とか「サーログ」としか。このレビュアー氏の「読み」説得力ありますねえ。
フンガロトンは積極果敢に「1stレコーディング」というシリーズを製作していました。しかしクヴァンツの録音のさびしいこと。わずかに、グラーフやゴールウェイがまとまっている程度。ボッケリーニを普及したビルスマのような、はたまたグラウンを広布するギエルミやパールのような演奏家が少ないみたいですな。
フルートの音楽は豊かな財産があるのに、あまり使わないみたいに感じます。ド・ラ・バール、ブラヴェ、オトテール、クヴァンツ、フュルステナウ、トゥルー、ドゥビエンヌ、ベーム、クーラウ----ドップラーだって積極的に取り上げている風には感じられません。トランペットはバイオリンになろうとし、バイオリンはプリマになろうと----フルートもそういう傾向が強いのかしら。

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La dolce vita(殿堂入りベスト50レビュアー)
「チャーログの情熱、クヴァンツのトラヴェルソ協奏曲集」
2013年4月29日
ハンガリーのトラヴェルソ奏者、ベネデク・チャーログが1999年に録音した4曲のクヴァンツのトラヴェルソ協奏曲集で、いずれの曲もピリオド楽器による演奏としては世界初録音になる。彼はこの時期クヴァンツの作品を集中的に研究していて、2001年には7曲のソナタ集も同様にハンガリー・フンガロトンからリリースしている。演奏の全体的な特徴は、ピッチがa'=397,5Hzという当時のベルリンの宮廷で好まれた低いものであるために、オーケストラの音色はやや暗いが、早めのテンポが曲集全体を生き生きとさせている。アウラ・ムジカーレは通奏低音のタンジェント・ピアノを含めて10名の室内楽編成で、コントラバスを一挺加えることによって低音の増強を図り、しっかりした和音進行とドラマティックな曲想を聴かせることに成功している。ライナー・ノーツによれば、これはポツダムのサン・スーシー宮殿でフリードリッヒ大王が抱えていた宮廷楽団の人数及び楽器編成と一致していて、当時コントラバスはヤーニチュの担当だったことが想像される。尚チェンバロの替わりにタンジェント・ピアノを使用しているのは、大王が初期のピアノを好んでいたためだろう。ここで演奏されているピアノはハンガリーの鍵盤楽器奏者、ミクロス・シュパンニの所有になる。
ブダペスト出身でクイケン門下のチャーログは、既にトラヴェルソ用のソナタや室内楽を数多くリリースしていて、その情熱と意気込みはどのCDにも感じられるが、勿論目の醒めるような鮮やかなテクニックはこの協奏曲集でも面目躍如だ。また緩徐楽章でのピリオド楽器の機能を活かした節度ある音楽性の表出には好感が持てる。彼がこの録音に使った楽器は1750年にクヴァンツ自身が製作したベルリン・モデルをフィリップ・アラン=デュプレがコピーしたもので、写真は掲載されていないがEs音とDis音を区別する2キー・タイプと思われる。オーケストラに対抗できる豊かな音量と線の太いクリアーな音色に特色がある。
ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツが作曲したトラヴェルソのための膨大な作品は、大王によって保管されていたために、古楽研究の隆盛と共に近年それらの楽譜校訂と共にその出版が盛んに行われるようになった。ここに収められた4曲の協奏曲はヴィヴァルディ様式の3楽章から構成されていて、それぞれが後期バロック特有の激しい曲想や、トラヴェルソにとって効果的な華やかなパッセージがちりばめられた、捨て難い魅力を持っている。収録曲目はト短調No.262、ニ長調No.70、ハ長調No.188及びト長調No.161で、鮮烈な音質が楽しめる優秀な録音であることも付け加えておく。

La dolce vitaさま、敬意を表します。

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