笑うバロック(656) グルックの7つのトリオ・ソナタ [61候補]

グルックはバロックの作曲家とはいいがたいのですが、トリオ・ソナタは残してもよさそうです。ハイドンやモーツァルトには、こういった様式優先のバロックトリオソナタはないかと思います。バリトンを含めたトリオや教会ソナタやら、それらしいものもあるのですが、聴いてみると思いのほかバロックの演奏とは違って聴こえました。
[61候補]としましたが、編集上はいくつかでてくるであろう[100候補]のひとつという具合でしょう。

トリオ・ソナタは1780年代まではヨーロッパ中で作曲されていたが、その後、弦楽四重奏やピアノ・トリオ、そして何よりも伴奏付き鍵盤ソナタといった最新の室内楽形式に取って代わられた。グルックのトリオ・ソナタは、作曲家の初期の創作時期に生まれたものだが、このジャンルの歴史の中では最後の黄金時代を象徴するものである。

クラシック音楽の小窓-その後




1987年録音



ゲーベルたちがギャラントに歌っていて、尖がった感じがしません。のびのびと演奏して聴こえます。変な比較ですが、ホリガーのゼレンカのトリオソナタの対極という印象なのです。

「古楽CD100ガイド―グレゴリオ聖歌からバロックまで今いちばん新しい音楽空間への冒険(1996刊)」の最後のひとりがCPEバッハでした。CPEバッハとコレルリのトリオ・ソナタと比較すると時間軸の対極のような関係かしら。
この本で、グルックはたしか登場せず、ゼレンカは登場しますが、古楽ガイドとしてはホリガーは異端扱いだったかもしれません。
Amazonのレビューを読むと「 もはや・・・インターネットが変えた古楽の世界  2021年現在 古楽CD界は出版時の1996年頃とは一変した。必須の名盤が皆無である。且つは専門家 研究者の選ぶ物がなんとなく枯れものの感もあり。」とか「 音楽のサブスクでまた日の目を見ることができる  出版されてから月日がたっているため、仕方がないのですが、中古ショップでも、手に入れずらいものもあります。しかし、今はspotifyのような定額制のサービスで値段を気にせずに探せるようになり、またこの本を役に立てるようになりました」
CDで音楽を個人が所有する時代は、むしろCDという物理的なケースにいれて所有した者以外に触れさせない、という面があったように感じます。
グルックのトリオは3種の録音だけのよう。インターネットはケースを破壊したけれど、ネット上のデジタルデータによるアーカイブだけに頼るようになると、アーカイブ管理者の良識が問われるようになります。無秩序なコレクションも困るし、意図的に行き過ぎたセレクションも。

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