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コレクション 1967年2月、東京喫茶「椿」の朝昼晩

勅使河原宏監督「燃えつきた地図(The Man Without A Map)」を視聴しました。
冒頭粟津潔のタイトルで惹かれました。記憶を刺激するような都会の空撮に移行し、喫茶店「椿」の壁のポスターに。吉田日出子がコケットウエイトレス役。この頃は、あんな風に片肘ついて斜めに座ってくつろぐウエイトレス----いたように思います。チェーン店が増え、ファミレスなども登場し、係の者が案内するまで看板の前でお待ちください、というサービスが普及するにつれて、批判的に見られるようになり、個人店のサービスは見直しを迫られます。

映画「燃えつきた地図(The Man Without A Map)」


昭和42年ころの喫茶店の雰囲気が、わたしの記憶にある喫茶店と思いのほか符合しました。両親がコーヒー好きで近所の喫茶店に通いました。子供のわたしはミルクセーキばかり。
当時は早朝営業する喫茶店も多かったと思います。休憩時間を挟んで2パートか3パートに分けて営業する店も。ただしレトルトや冷凍で作る軽食導入を進めてスナック様相に変化する前だと思います。
映画には、喫茶店の「朝昼晩」それぞれに顔が違うというように喫茶店やバーが登場します。同じ喫茶店「椿」だけでも、主人公は3つの違う顔の「椿」を訪問します。

下の4カット、上2段はおそらく早朝。職業安定所に並ぶあぶれた労働者に日雇い仕事を斡旋するような営業をしています(運送業に運転手を斡旋している様子)。
下2段は主人公が最後に訪問する「椿」です。前の2回が夢うつつだったかのような別な店に。冒頭のポスターが貼ってあった壁に窓が開き、その奥の厨房から完成品がウエイトレスに渡されます。規模の違いはあれ、キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」を連想しました。

たしかに「砂の女」とセットで考えると興味深いかもしれません。
わたしは久しぶりに横長の画面が東京上空を飛んだり、窓の向こうに首都高の見える喫茶店が登場したり、主人公が彷徨う東京の姿に見入ってしまいました。

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