(2012年6月/2017年5月)ゼレンカ (1679–1745)「ラメンテーション」リスト =12種
ゼレンカ(1679ボヘミア–1745ドレスデン) は、このブログの主たるテーマのひとつ「哀歌」に関するカテゴリーの中の大変大きな山です。ついにここまで来た、という感じです。
1982年録音
演奏
ルネ・ヤコブス(CT/cond)、ギ・ド・メ(T)、クルト・ヴィトマー (Bs)、バーゼル・スコラカントルム器楽合奏団
言わずと知れたヤコブスの全曲盤。全曲は世界初と思いますがそうは書かれていません。何か理由があるのかしら。ゼレンカは、ホリガーがオーボエの分野から開拓したバロックの鉱脈の一つと認識しています。また、時代がいつでも、すぐ出稼ぎに出ても、ボヘミアの人たちはボヘミア生まれの作曲家たちに親密な感情を抱いています。ボヘミアは、西洋音楽の源泉のひとつともいえます。ただしこの録音ではシャリモーが使用されています。当時のバーゼルの人材の豊かさかしら。それでも若干頼りなげに聴こえます。後々ライトヘラーみたいな人が登場するのですが。いずれにしても、バロックのドレスデンには「縦に構える」管楽器のプロがいたのでしょう。
水(木)曜第1 c-mol(Bs+2Ob+2Vn+Va+BC)、2 F-dur(Al+2Ob+2Vn+Va+BC)、
木(金)曜第1 B-dur(T+2Ob+2Vn+Va+BC)、2 g-mol(Bs+2Ob+2Vn+Va+BC)、
金(土)曜第1 A-dur(T+2Fl+2Vc+BC)、2 F-dur(Al+Vn+Chalumeau or Ob+Fg+BC)、
ジャケット
ローマ、サン・クレメンテ寺院のモザイクの部分「エレミア」
中央の拡大写真の右下方の青〇
1982年録音
ヨランタ・スクラ女史製作の1982年ドゥヴォ盤。バスの第1が含む。
1990年録音
演奏
マイケル・チャンス(CT)、ジョンマーク・エインズリ(T)、マイケル・ジョージ(Bs)、シャンドス・バロックプレイヤーズ(シャリモー不使用)
同じ年に全曲版2種録音。
アルト、テナー、バスという3人のソロ歌手が必要なので、全曲盤を仕立てるのは少し大変です。弦+通奏低音+管楽器は、当時としてはフルオーケストラに近いものでしょう。ソロ歌手と通奏低音だけから比べると、規模が大きい。ヤコブスがとりあげたので、カウンターテナーのレパートリーと思われていたかもしれません。グレネウォルドはドイツかオランダの人でしょう。古楽に積極的に取り組むアルトのひとりでした。
ジャケット
ペトルス・クリストス(1472)の「ラメンテーション」メトロポリタン美術館 1444年からブルッヘで活動した初期フランドル派のオランダの画家。
1990年録音
演奏
ウラ・グレネウォルド(Al)、ハイン・ミーンス(T)、マックス・ファン・エグモント(Br)、アカデミー・オブ・ベインホフ・アムステルダム、ロデリック・ショウ(org/cond)(シャリモー不使用)
ジャケット
レンブラントの「エレミア」
1994年録音
演奏
ジル・ラゴン(T)、ピーター・ハーベイ(Bs)、アンサンブル・ストラディヴァリア、ポール・コロー(cond)
レスポンソリウム:ナント声楽アンサンブル&コンセール・サンマルタン
聖木曜日のための聖務日課として、哀歌第1第2のみ。
哀歌とレスポンソリウムのセット演奏。レスポンソリウムは1999年にルーメン・バロというグループが全曲いれて再評価の確立と思います。80~90年代は、典礼のプログラムに沿った再現の時代だったといえるかもしれません。バッハが参考したマニフィカトの録音もされるようになった頃かも。
ジャケット
表記なし。
2004年録音
演奏
ザビーネ・カイパイネン(Ms)、モスクワ・バロックソロイスツ、 ライトヘラー(シャリモー)
聖金曜日のための第2のみ。
リコーダー奏者のはずのカイパイネンの歌手としてのアルバム。グループ名のはずの「ムシカポエティカ」が同時にタイトルに。幅広い選曲。ライトヘラーは、この後コレギウム1704にも度々参加しています。
2005年録音
演奏
ゴットホルト・シュバルツ(Br)。ベッカー・フォス/パンク(org、cemb/vdg)
21世紀の「バス」のためのカンタータ集。ガンバのパンクが参加しているので、バッハの財産目録にもあるホフマン作のガンバの音が楽しめます。ゼレンカの「哀歌」が1曲、木曜第2(4/1-6)
ジャケット
ドレスデンのツビンガー宮殿のニンフ像。
2007年録音
演奏
ジェームス・ボウマン(CT)、フィオリ・ムジカリ、 ペネロペ・ラプソン(cond)
聖金曜日のための第2のみ。
ハ短調レクイエムのUK初録音と表記。組み合わせのハ短調ミゼレーレのあとの余白に。ボウマンのソロで。哀歌とミゼレーレがセットにもなるので、哀歌、レスポンソリウム、ミゼレーレにレクイエムまで、ゼレンカの宗教曲の守備範囲は本当に多岐多様です。職人的質の高さもありの、美しく耳馴染みの良いメロディーメーカーでもありの、大先輩ヒポコンドリア様が惚れるのが納得されます。
ジャケット
「エルベ右岸からのドレスデン」ベロット(1720-80)
ベルナルド・ベッロット (Bernardo Bellotto, 1720年1月30日 - 1780年10月17日)は、イタリアの風景画家。エッチングの原版作者。ヴェネツィアの風景画家カナレットの甥にあたる。時には非公式にベルナルド・カナレットと呼ばれたため、特にポーランドでは、カナレットの絵画というと伯父よりも彼のことを指すことがある。1747年から1758年にかけ、彼はザクセン選帝侯でもあるポーランド王アウグスト王の招きに従い、ドレスデンへ赴いた。彼はドレスデンとピエルナ、またその郊外を描いた作品を多く残した。とくに、アウグスト橋下流のエルベ右岸からドレスデン中心部を描いた構図は「カナレット・ビュー」として有名で、ドレスデンを代表する景観のひとつとなっている。今日、これらの絵画が、第二次世界大戦中の大規模空襲で破壊されたドレスデンの、かつての美しさをうかがわせるものとして保存されている。(ウィキ検索)
2010年録音
演奏
ダミアン・ギヨン(CT)、リーベン・テルモント(Bs)、イル・ガルデリーノ、マルセル・ポンセル(ob/cond)
聖水曜日のための第1 、聖金曜日のための第2のみ。
ポンセルのイルガルデリーノのバッハカンタータ選集の第3巻「ラメンテーション」の組み合わせ相手。
バッハのBWV46と102の間に2つの哀歌をサンドしました。46番は歌詞の一部に哀歌を含む作品です。
ジャケット
デビッド・アンガスの写真
2011年録音
演奏
コレギウム1704、 バツラフ・ルクス(cond)
聖水曜日のための第1のみ。
レクチオを加えセットアップしたレスポンソリウム全曲集。最初の哀歌のみゼレンカの作品を使用。他は単旋律聖歌を採用しています。ルクスは、アンサンブル・イネガルとゼレンカ・ルネサンスを実行中ですから、いずれ全曲録音してほしいものです。
ジャケット
「リグリアの地図」ダンティ(1536-86)バチカン美術館の地図の間
コジモ・ディ・メディチに仕えたイグナチオ・ダンティは主に地図製作に携わっていました。
2012年録音
ドミニク・キーファー(vn)指揮 カプリッチョ・バロック合奏団 (古楽器使用)
アレックス・ポッター(カウンターテナー)
ポッターはゼレンカのソロモテット集で、1曲録音。哀歌 III-2(『聖金曜日のための第1・第2哀歌集』より)ZWV53-6(1722)
2014年5月録音
ゼレンカ:聖週間のための預言者エレミアの哀歌 ZWV53 (1722)
ダミアン・ギヨン(カウンターテノール)
ダニエル・ヨハンセン(テノール)
トマーシュ・クラール(バス)
コレギウム・マリアヌム / ヤナ・セメラードヴァー(指揮) 録音:2014年5月21,22,26日 プラハ、鎖の下の聖母マリア教会
セメラドバーは全曲。
(宣伝資料)瞑想的にして劇的。天国的に絶美な音世界、ゼレンカ『預言者エレミアの哀歌』
第一人者セメラードヴァー率いるコレギウム・マリアヌムによる演奏
預言者エレミアのものとされる旧約聖書の「哀歌」は、中世以来、アレグリ、ラッスス、ビクトリア、タリス、ドゥランテ、アレッサンドロ・スカルラッティなど数多くの作曲家たちによって創作のテーマとして扱われてきましたが、なかでも重要な位置を占めるのが、ゼレンカ作による『エレミアの哀歌』です。ドレスデン宮廷時代に作曲された『エレミアの哀歌』は、ゼレンカ初期の傑作のひとつで、プラハで書かれた『墳墓』、レスポンソリウムと並んで、聖週間のための作品です。
『エレミアの哀歌』は、テネブレの典礼(暗闇の礼拝)の一環として演奏されますが、ゼレンカは、瞑想的な様相と力強く劇的な説示とを結びつけることに成功しています。また、ゼレンカの特異な楽器法の傾向が、たとえば、独奏ヴァイオリン、ファゴット、シャリュモー(今日のクラリネットに似た楽器)を用いた最後の哀歌にはっきりとみてとれます。なお、ゼレンカは、各日の第一徹夜課の2つのルソンにのみ音楽を付けているので、この録音では、ドレスデン宮廷においてしばしば演奏されたように、第3ルソンには「グレゴリオ聖歌」を用いています。(キングインターナショナル)
セメラドバー盤のスプラフォン宣伝動画あり。
ゼレンカの哀歌は、レーヌのyoutubeライブをいれると、13種になります。
ゲーベルもyoutubeにライブがありました。「聖水曜の第1」のみライムント・ノルテのバスソロで。あのゲーベルの指揮姿通りの刺激的な14種目かしら。6曲セットで聴きたいものです。
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