見出し画像

わたしの中に住んでいる、空想好きな彼女のおはなし。


わたしの中住んでいる、小さい女の子のおはなし。
空想好きの彼女は、この絵を見つけた時に、
ふわっと胸に浮かんだことを、こんな風に言いました。



「魔法使いのせかいみたい」



昔、わたしが魔女だった頃
ルピナスの花畑の奥でそれを見たわ。

いつもあるわけじゃないの。
気まぐれに、「不思議の理」であらわれるその穴は
風を吸い込んで、わたしを誘っているようだった。

舞っている光は、花が飛ばしたものかしら。
それとも・・・

気流の乱れがあるから、魔女のほうきがなければその先へは行けない。
どこへ続くかはわからない、けど

――― 行ってみたい

好奇心から胸が鳴る。

けれどなぜか、ほうきを取りに戻る時間はないことを知っていたわたしは
ルピナスの花を両手に抱え、
その目の前の光景を、ただただ全身で感じていたのです。

 

「あなた、本当に魔女だったの?」

彼女に問いかける。

「いいえ。でも、そんな頃があった気がしているだけ。
 空想の世界ではわたし、何にだってなれるし、どこにだって行けるのよ」

なんてことのないように、彼女はふわりと笑って言った。



わたしの中に住んでいる、空想好きの彼女は
その、子ども特有の輝きをはなって笑う。きらきら、きらきら。

そんな彼女が、今を生きるわたしの中に住んでいる。

そこでばかりは生きれないけど
それでも、そんな彼女が住んでいるわたしが、
わたしなのだと、ふと思うのです。


---------------------------------------------------------------------------------------
*あとがき

桃生かのこさんが「土曜絵画」で描かれていた作品から
イメージを膨らませ書かせていただきました。

【土曜絵画】ルピナスの花畑〜女帝生還(仮)【イメージ画_20171014】


空想好きの彼女は、れとろという名前で、色々お話を書いてます。
こうして空想を膨らませて物語を綴るのは、
わたしの中では、「夏川みわこ」ではなく、「れとろ」なのですが
かのこさんが「みわこさんの作品として」とおっしゃってくださったので
このような形で書いてみました(*´ `)

今回は素敵なお声かけをいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?