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【長編】高校の七人「名門~栄桜第一高~」

 名門「栄桜(さかえざくら)第一高校」……
 設置学科:普通科・スポーツ科・グローバル科
 全校生徒:960人(1クラス40人×8クラス×3学年)
 就職・専門学校進学をはじめ、国内の難関大学・医学部進学はもちろんのこと、海外の大学にまで進学者を輩出している。それだけではなく、名スポーツプレイヤーの育成にも携わってきた。文字通りの「文武両道」を貫く学校である。
 しかし「名門」と呼ばれる学校も「文武両道」を謳う学校も、謳っているだけの学校を含めれば、腐るほどあるし、実際に腐っている学校もあるだろう。この学校が真に誇るべきは、進学実績や、部活の戦績などではなく、校則に込められる「特異性」である。
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〇栄桜第一高の特異性

・部活動加入必須(=帰宅部厳禁)

 栄桜第一高は、全校生徒1人残らず、部活動への加入を義務付けている。「部活動加入必須」というのが正式な条文であるが、一般には、帰宅部厳禁と称されることが多い。
 理由は単純。部活動への加入を義務付けることによって、集団や組織の中での協調性やコミュニケーション能力の向上機会を損なわないようにすることである。もちろん兼部も許可される。

・学生端末

 全校生徒には、1人1台スマート端末が貸与され、テスト範囲・学級通信・業務連絡等を学校の巨大サーバーで管理する。情報化社会に根差した教育の一環である。
 とはいえ、ただ学校から端末を貸し出すというだけであり、ポルノを見ようが、ゲームをしようが、お咎めは無い。ただし、トラブルが起きた場合は、その解決のために学校のセキュリティオフィスを介す必要はある。

 そのため、それ以外の端末を持つことは、"最重要校則違反"であり、違反が発覚した場合は、即刻退学処分の処置を取ると、保護者にも話が通されている。

・生徒会役員

 学年で2~3人ずつ、決選投票によって生徒会役員を選出し、行事の運営等に携わらせるというという仕組みは、もはや無い学校の方が少ない。

 栄桜第一も言わずもがなである。

 ただし栄桜第一は、生徒会役員を2人選出する。
 日本の国会において、衆議院・参議院の二院制を取る理由と変わりない。
 暗黙の了解であるが、男1人・女1人である。

 本来、生徒会役員は、教員の言いなりなのであるが、自主性・自立心・自律を尊重するこの学校では、生徒会長の持つ権限は大きいとされている。 
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