見出し画像

【創作怖い話】謎の虫

 関西の田舎町に住む、私の母方の祖父母が、昨年来た時の話である。

 祖父が言った。
「そういえばよ、この前、変な虫が飛んで来たんじゃ。ばあさんが虫嫌いじゃけん……一瞬カブトムシかなと思って引き止めたんじゃが、ツノがびっしり生えてるし、色もおかしいし、どうも気色が悪いけん……毒でも持ってたらコトじゃと……すぐ追い出したんじゃ」

 私は、昆虫の図鑑を引っ張り出して「どんな虫だった?」と尋ねた。

「うーん、分からんなあ……」
 祖父はそう言って、話題は別のものにうつっていた。
 
 だが、その後しばらくして、ずっと図鑑をめくっていた祖父が「ああ、こいつじゃ!」と叫んだ。

「ばあさん!これやな!」
「ああ、これじゃ!まちがいない!」

 祖父母が指さしたのは「ゴホンヅノカブト」だったのである。

 日本にいるはずのないゴホンヅノカブトが……何故、関西の田舎町に?

 ペットが逃げたか。
 それとも、祖父母の勘違いか。

 逃がしてしまった以上、もう真相を掴む術はない……
 しかし、何かオカルトなモノを感じた、妙な話でした。
 ――― ――― ―――

〇更新記録
・2020年12月3日 記載
・2024年3月10日 更新
 ――― ――― ―――

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?