【ヒロアカ同人物語】無能者の緑谷出久~雄英高に受からなかった男~ (2023年5月21日作成)
〇まえがき
私は元々、地下小説家です。ヒロアカと言うアニメを知って以来、この内容を書きたかったです。
出久と、私の学生時代が重なりました。しかし、出久との相違点は、私の人生に、オールマイトは存在しなかったんです。正確には、存在したオールマイトは、不幸な運命に……
出久は、誰にでもあるモノ(個性)を持っていません。ですが、その代わりに、唯一無二のモノ(緑谷力)を持ってます。
アニメを見て、私の学生時代と照らし合わせた結果思ったことは、その緑谷力を、個性「ワンフォーオール」がかき消していると思ったんです。
だから書きました。以上。
※これは、今日(2023年5月21日)時点で私(RETRO)が理解しているストーリーや設定を元に書いてます。ご了承ください。
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〇アニメ「僕のヒーローアカデミア」について
僕のヒーローアカデミア:公式HP
僕のヒーローアカデミア:アマプラURL
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〇ストーリー※アマプラ準拠
・1クール
緑谷、雄英高入学
→ヴィラン連合による、雄英高USJ襲撃事件
・2クール
雄英体育祭
→ヒーロー職場体験
→ヒーロー殺しステイン+脳無襲撃(保須事件)
・3クール
雄英林間合宿襲撃
→爆豪奪還+ヴィラン連合基地制圧作戦(神野事件)
→ヒーロー仮免許取得
・4クール
ヒーローインターン
→指定ヴィラン団体「死穢八斎會」制圧作戦
→爆豪、轟コンビの仮免補習
→雄英文化祭
・5クール
特別授業「1-A組 VS 1-B組」
→異能解放戦線&ヴィラン連合の結託(泥花事件)
・6クール
VS覚醒死柄木+ヒーロー社会崩御
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〇梗概
世界最強のヒーロー「オールマイト」は、自分の能力の後継者を探していた。そして、緑谷出久という中学生に眼をつける。
緑谷出久(以下、出久)は、ヒーローを志すが、この社会に生きている人間なら誰もが持っているヒーロ―活動に必要な能力「個性」を持たずに生まれて来た、無能者「無個性」だった。
叶えられぬ夢に直面し葛藤する中学生の少年に、オールマイトはひょんなことから、世界最強の個性「ワン・フォー・オール」を付与しようと決める。
日本最高クラスのヒーロ―科を設置する高等学園「雄英高校」の合格を目指し、出久は1年間努力した。だが……
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〇本編「無能者の緑谷出久~雄英高に受からなかった男~」
〇出久の慟哭
「ゔううあああああああっ…………!!!」
15歳の冬……数え年16歳の少年「緑谷出久」は、声にならない叫びを上げ、真夜中、誰もいない小さな林の中で、大きな岩を殴りつけていた。岩は、真っ赤に染まっていたが、壊れる気配はない。しかし、出久の拳はどんどん壊れていく。
しかし、彼の心の痛みに比べれば……拳の痛みなんぞ、無いに等しかった。
世界最強のヒーロ―にして、憧れの男「オールマイト」に、世界最強の個性「ワン・フォー・オール」を付与されてから、約1年の間、これまでの弱かった自分に引導を渡すために、必死で器を鍛えた。鍛えて鍛えて鍛えて来た……
しかし、雄英高校には受からなかったのである。オールマイトの期待に応えることが出来なかったのである。15歳の出久に、その現実はあまりにも過酷過ぎた。
その時……
(少年……!)
何者かの声に、出久が振り返ると、そこには、誰もいない……いや、見えないだけで、何かが存在しているのは確認できた。
「???」
その声は、幻聴ではなかった。先ほどより克明に聞こえて来た。
(止めろ! もう、その身体は、君だけの身体ではない。君は我々のために、我々は君のために!!!)
出久は、正気に戻った。
そして、荒れ狂った自分に、自分の荒れ狂った部分を窘め、言い聞かせるように、呟いた。
「そうだ。僕の目的は、一流のヒーローになることであって、雄英高に受かることじゃない。雄英高に受かるのは、手段に過ぎない。受からなかったことは、問題じゃない」
出久は、血の滴る拳を止血すると、自信と責任感に満ち満ちた眼で、帰途に着いた。
間もなくオールマイトから、直筆の手紙が来る。
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〇オールマイトからの手紙
緑谷少年へ
連絡が遅れてしまって、本当に申し訳ない。
不合格の件は、非常に残念だ。君は確かに、合格点に達することが出来なかった。
だが、勘違いをしないで欲しい。この不合格は、君の努力不足によるものではない。仮に合格点に達していても、雄英側は、君を受からせることはしなかっただろう。
きちんと理由を説明する。
世界最強の個性「ワン・フォー・オール」……この個性を欲しがる者は、星の数ほどいる。ヒーロー側にも、ヴィラン側にも。
加えて、雄英は、ヒーロ―社会における、注目の的。
大きな秘密を抱えたそんな君を、そのような目立つ場所に置くわけにはいかないだろう。
だが安心しろ。君の努力は実った。
個性「ワン・フォー・オール」は、確かに君を受け入れた。
雄英の学生でなくとも、君は私の大切な教え子の一人だ。
私は君を一流のヒーローにするために、努力を惜しまない。
だから君も、一流のヒーロ―になるために、努力を惜しまないで欲しい。
近いうちに、また会おう。
オールマイト(本名:八木俊典)
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〇某高校ヒーロ―科の新入生
雄英高ではない、名もない某高校のヒーロ―科に進学した出久は、同級生と共に、日々鍛錬に勤しんでいった。
オールマイトの意思を汲み、目立たないように、必死だったのである。
ワン・フォー・オールを使いこなせない未熟なままに、下手に目立って、自分が継承者だとバレれば、格上のヴィランに狙われ、勝ち目のない戦いを強いられる。
それだけは絶対に避けねばならないと、出久は、慎重に慎重を重ねた。
そうして過ぎ去った、高校生1年目の約1年……その間に、ヒーロ―社会を揺らがす様々な出来事が起きる。
・ヴィラン連合による、雄英高USJ襲撃事件
・雄英体育祭
・ヒーロー職場体験
・ヒーロー殺しステイン+脳無襲撃(保須事件)
・雄英合宿襲撃
・ヴィラン連合基地制圧作戦(神野事件)
・ヒーロー仮免許取得
・ヒーローインターン
・指定ヴィラン団体「死穢八斎會」制圧計画
・雄英文化祭
・異能解放戦線&ヴィラン連合の結託(泥花事件)
・VS覚醒死柄木+ヒーロー社会崩御
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ヒーロー職場体験においては、出久は、オールマイトの恩師「グラントリノ」の元で修行し「ワン・フォー・オール」の効率的な使い方「フルカウル」を習得した。
同時に、「ヒーロー殺しステイン+脳無襲撃(保須事件)」に巻き込まれた出久は、雄英高1-Aの同年代「轟焦凍」「飯田天哉」と死線を共にし、知り合う。
※ちなみにこの時、1-Aの生徒名簿には「心操人使」の名があった。
中でも、特筆すべきは神野事件……現平和の象徴「オールマイト」の最期である。
「次は、君だ……!」
個性「ワン・フォー・オール」の消失と引き換えに、オールフォーワンを倒したオールマイトが、全国ネットで発したこの言葉は、出久にとって、二重の意味を持っている。
・「次に狙われるのは、君だ……!」
・「次に平和の象徴となるのは、君だ……!」
八木俊典ではなく、ヒーロー「オールマイト」の死に直面した出久は、今まで以上に気を引き締め、涙を流しながら鍛錬に勤しむ。
そして、某高校ヒーロ―科では異例……出久は、雄英生同様、1年次でのヒーロー仮免許取得に成功した。
この際の会場は、雄英1-A生とは異なる場所である。
更に出久は、オールマイトの紹介により、オールマイトの元サイドキック「サー・ナイトアイ」の元で、ヒーローインターンに勤しむ。
ここで、ワンフォーオール本来の継承者だったとされる雄英3年次生「通形ミリオ」と出会った。
さらに、同インターンにおいて、指定ヴィラン団体「死穢八斎會」討伐に協力。「サー・ナイトアイ」の死に直面した。
ここで雄英高1-Aの「麗日お茶子」「蛙吹梅雨」「切島鋭児郎」、さらに雄英高3年次生にして「通形ミリオ」と共に、雄英BIG3に数えられる「波動ねじれ」「天喰環」と出会っている。
そして、今ヒーロー社会史上、最悪規模の事件が起こる。
「異能解放連合制圧計画」
ヒーロー達は、ヴィラン連合の無尽蔵憲兵「脳無」製造工場の心臓部「蛇腔病院」……さらに、異能解放戦線の本拠地「群牙山荘」の2拠点を制圧せんとした。
だがヴィラン連合の指導者にして、ヒーロー社会が生んだ、最悪の負の側面「死柄木弔」が覚醒。
そして、取り逃がす。
間髪入れず、対個性最高警備特殊拘置所「タルタロス」が襲撃され、沢山の要注意ヴィラン「ダツゴク」達と共に、全事件の黒幕「オールフォーワン」が解放されてしまう。
オールフォーワンは、特定の個性を持っている者の居場所を探知する能力を持っていた。
個性「サーチ」……ヒーローチーム「プッシーキャッツ」の一人「ラグドール」が持っていた個性である。
特定の場所に留まらないことを余儀なくされた出久は、連日、たった1人でダツゴク、およびオールフォーワンの刺客の一掃、拘束に勤しんでいた。
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〇いじめっ子への報復
かつてのNo.1リーダー「オールマイト」ひいては「八木俊典」は、ヒーロー3強に、全てを打ち明け、出久を助けるよう懇願する。
・エンデヴァー(No.1):轟焦凍の父親
・ホークス(No.2)
・ベストジーニスト(No.3)
そんな時、雄英高1-Aの生徒にして、出久の幼馴染「爆豪勝己」は、予てより推察していた「ワンフォーオール継承者=緑谷出久」という仮説が、真であると確信する。
爆豪勝己は昔から、無個性の緑谷出久を、蔑ろにしていた。
「そんなにヒーローにつきてえんなら、いい方法があるぜ? 来世は個性が宿ると信じて、屋上からのワンチャンダイブ!」
中学卒業時には、出久に対し、自殺を斡旋するような発言までしていた。
今になって初めて、良心の呵責に駆られた爆豪……
罪滅ぼしのために、1-Aの生徒達を率いて、出久救出作戦に赴く。
この際には、出久と面識のある「轟焦凍」「飯田天哉」「麗日お茶子」「蛙吹梅雨」「切島鋭児郎」の5人も賛同した。
しかし……
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〇ヴィラン爆豪の最期
出久と面識のある5人は、雄英高に根を張るよう、緑谷に対話を試みる。
しかし、緑谷は、ただただ爆豪勝己の眼を睨みつけていた。
「久しぶりだな、出久……」
「黙れ……爆豪勝己……」
「!!!!!」」」」」
ただでさえ殺気に満ちたヒーロー「デク」(=出久)の憤怒に満ち満ちた物言いに、現場に戦慄が走る。
「緑谷君……」
「緑谷……」
1-A委員長の飯田、1-A暫定最強の轟が窘めるも……
「飯田君、轟君に加えて、コイツの同級生の君達は知らないのかもしれないが、この男、爆豪勝己は、昔から僕を侮辱し、その尊厳を奪い続けて来た。ずっと……ずっとだ……コイツ本人が、僕は今でも許せない……こんな人間の首席合格を許した、雄英でさえも……そんな雄英にいる、君達でさえも……」
「もう、かっちゃんとは呼んでくれねえのか」
「……馴れ馴れしくするな!……君が、どれだけ雄英で修行して、どれだけオールマイトを超えるような優秀なヒーローになろうとも、君は僕にとって、ヴィラン以外の何物でもない。綺麗事の偽善を述べる前に、自ら犯してきた非と向き合ったらどうなんだ!!!」
かつて、自分がいじめて来た、いじめられっ子「デク」とはかけ離れた、思わぬ出久のその姿と言動に、爆豪は面食らう。
「とにかく、雄英に来てもらうぞ。デク……」
戦闘態勢に入った爆豪……しかし……!!!
――ボグッ!!!
怒りに満ち満ちた出久の素拳が、爆豪の顔面に炸裂した……
その拳には、一欠けらの個性も練りだされていなかった。
これが、緑谷にとってのヴィラン「爆豪勝己」の最期だった。
この一発の拳は、ヴィラン「爆豪勝己」を、ヒーロー「爆豪勝己」に変えることになる。
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その後……
1-Aの生徒の1人「心操人志」の初見殺し能力「洗脳」により、出久は捕らえられ、雄英高の1-Aの寮に放り込まれた。
無論、出久は抵抗し、逃亡を画策するが、1-Aの生徒達に加え、八木俊典(元オールマイト)、オールマイトの恩師グラントリノ、エンデヴァー、ホークス、ベストジーニスト、加えて、1-A担任「イレイザーヘッド」の説得により、寮に匿われることに渋々納得した。
ここでの「説得」という言葉には、実力行使も含まれている。
個性を使用不能にする個性を持ったイレイザーヘッドは、ワン・フォー・オールの個性をかき消されようとも、トップヒーロー達と互角に渡り合う、強く勇ましいこの少年「緑谷出久」の力に驚愕している。
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〇更新記録
2023年5月23日 記載
2023年5月23日 更新
2023年9月15日 更新
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