76. Re スタート
駄目だ ダメだ だめだ
書きかけては、何度も消してを繰り返していた。
何時間経っても、真っ白なままのワードの画面。
つまり、何時間経っても真っ白なままのわたしの脳内。
昔は、こんなんじゃなかったのにな。
ひとつの言葉から生まれる空想の世界は、
確かに色づいていたはずなのに・・・
過去に囚われすぎなんじゃない?
分かっている。けれど。
求められているのは、あの時の空気。雰囲気。
好かれているのは・・・
10年。
その時間はあまりにも長い。
空想好きの少女が大人になるには十分すぎる時間だ。
生まれたての赤ん坊なら、小学生にまでなってしまう。
それなのに、未だにこの旅路を終えられずにいる。
旅。旅か・・・
あの日、はじまりの日に、まっすぐな目でわたしを見つめた少年は
今のわたしをどのように見るのだろう。
自分自身が誰か、どうしたいのか分からないと項垂れた彼は。
その曖昧さが、不確かさが、魅力だったのだと気づきもしないで。
大人になることに憧れていたはずのわたしが
今はあの日の影を追い求めている。
何かひとつを続けることほど、難しいことはない。
磨けば必ず光るわけじゃない、だって、
磨けばつまらなくなる原石もあるのだから。
でも。
駄目だ ダメだ だめだ
駄目で元々。どうせダメだ。だめならだめなりに。
足掻いてみせななよ。
この残りの旅路が、見るに堪えないものだとしても。
わたしは、それでも歩き切りたいのだ。やりきりたいのだ。
誰のためでもない、これは
自分自身との闘いだから。
弱さを受け入れて、その上での最良を探すのだ。
「Re スタート」
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76/100 「駄目だ ダメだ だめだ」
今のわたしで綴っていいと、許可できないのはわたしだけ。
それは結局、今のわたしを受け入れられていないからだ。
「絵描きさんに100のお題」に文章で挑戦中。
http://kuusouya.web.fc2.com/Story2/h_100.htm
一人称替え、部分抜粋、アドリブOKです。
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http://happy-smile30.wixsite.com/kuusouya/shiyou
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