note表紙

71. 金木犀の香る日、引っ越し


あちゃ、ガムテープなくなっちゃった。
しょうがない、一時休戦。休憩といたしましょ。コーヒーでも入れようか。
やっぱり湯沸しポットをしまうのは最後ね。

ふぅ… おいしい。


"きみとこうして当たり前に隣にいられる自分を しみじみと不思議に思う"

箱に入れるたびに思うの。
あ、去年の冬、これで一緒につついた鍋、おいしかったなぁ、とか、
誕生日にもらった花、この花瓶に生けたなぁ、とか

はじめは何の変哲もなかったものなのに、
いつの間にかたくさんの思い出に上塗りされてた。
それを今、改めて実感してるの。

ねぇ、好きよ。あなたが好き。

金木犀の香る季節が来るたびに、今日の日のことを思い出せたらいいなって思った。

だんだんきみとこうして隣にいることが、当たり前みたいになって
きみは仕事に、わたしも日常に追われて、お互いにイライラしたり、
わたしはきみをぞんざいに扱ったりしてしまう日が来るかもしれない。

でもちゃんと仲直りしようね。
ちゃんと隣で、一緒に歳をとろう。

これからもっとたくさんのものが、一緒に過ごした記憶で塗られて
そういったものに気がつかないうちにどんどん囲まれて、
でも確実にある日どちらかが先にいなくなってしまう時が来て
そのことを考えると、なんだか、今から怖くなっちゃう。

馬鹿だね、わたしって。

ねぇ、わたしを好きになってくれて、本当にありがとう。
--------------------------------------------------------------------------------------
71/100 「ガムテープ」
思い出が零れないように蓋をして。さぁ ガムテープ買ってきて、続き続き。

今回は、お友達の草凪優介さんにお願いし、
同じテーマで文章を執筆していただきました。

草凪優介さん、本当にありがとうございます。

「絵描きさんに100のお題」に文章で挑戦中。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Domino/1782/100.html

演者ありきの文章です。よければ、声にしてください。
一人称替え、部分抜粋、アドリブOKです。

他サイトでの利用規則はこちらをご一読ください。
http://happy-smile30.wixsite.com/kuusouya/shiyou
noteでの投稿の場合、ぜひ、コメント欄にリンクを貼ってお知らせください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?