退役警官の回顧録

元警察官が経験や体験を通じて知ったことを赤裸々に綴っていこうと思います。 守秘義務があ…

退役警官の回顧録

元警察官が経験や体験を通じて知ったことを赤裸々に綴っていこうと思います。 守秘義務があり全てを伝えることはできませんが、皆さんに知ってもらいたいことを可能な範囲で伝えていけたらと思います。

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随想の執筆に先立って

 私は昭和の終わりごろから平成、令和と3つの時代にかけて、地方自治体の警察官として勤務した者である。いわゆる第二の人生を送っている身だけれど、退職する直前から新型コロナウィルスによる肺炎の感染拡大が始まり、溜まりに溜まった有給休暇を利用して外国旅行するのを楽しみにしていたのに行けなくなり、再就職後も感染拡大は止まらず、まもなくリモートワークだとか制度補償を利用した休業などを強いられ、自宅に籠る日々が殆どといった状況に陥ってしまった。家でひとり過ごしていても、やることがなさ過ぎ

    • 昭和末期の交番勤務 ~時代背景と新任警官の日常 その1~

       前回、「犯罪情勢ってどうなのか ~犯罪統計で実態が解るのか~」というタイトルで昭和末期からの刑法犯認知総数について、感じる問題点を述べ、果たして現在のやり方で真実の情勢を知ることができるのかとか、戦後からの集計方法に一貫性がないなど、ネガティブなことを書いた。  しかし、現存するデータはこれしかないので、長期スパンの推移を比較検討するにはこの統計による以外に方法がない(と思う)。  また、認知が困難な罪種が多く、実態を捉えていないという点はあるものの、その条件については毎年

      • 犯罪情勢ってどうなのか ~犯罪統計で実態が解るのか~

         さて、前回は私のアルバイトと犯罪捜査との共通項について書かせてもらったが、今回は少し毛色を変えて「犯罪統計」というものを取り上げてみる。  私自身は配属先の所属で犯罪統計の集計・登録を行う「統計主務者」をしたことはないが、集約されたデータを利用して議会用の資料や各警察署に配布する資料、年度ごとにまとめる資料などの作成をしなければならない(内心はやりたくない)立場だったことがあって、罪種別、年次別、年齢別、職業別、地域別など様々な角度から実態を分析して資料にするといったものだ

        • 犯罪鑑識 ~考古学とのオーバーラップ~

           さて、前回は警察官になった経緯みたいなことを書かせてもらったが、一応は匿名で回顧録などを公開するつもりだ。正直なところ、回顧録を詳しく書き起こせば身バレは必至ということになるので、どうしたものかと思っているのだが、当面は差しさわりのないテーマで感触を探りながら進めて行きたい。  今回は、犯罪鑑識について、自身の経験を踏まえてお伝えしたいと思う。 〇 専門ではないけれど   私は犯罪鑑識については専門家ではない。  しかし、初任科生として警察学校で学んだときや新任として警察

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        随想の執筆に先立って

          警察官になる。

          1 なぜ警察官を目指したのか  私の両親は昭和40年代からいわゆる家内制手工業、つまり仕立て・縫製の工賃で生計を立てていたが、当時の国内の繊維業界は中国など途上国の台頭によって、既に斜陽の業界となっていたし、親も私に跡を継がせる気は全くなかった。  繁忙期と閑散期の差がとんでもなく、あるときは寝る間もないくらい仕事が来て、ないときは毎日昼寝して過ごすというような調子で、徐々に繁忙期が来るサイクルが長くなって行くというような生活だった。  そんな様子を見て育った私はある私立大学

          警察官になる。