人はなぜ戦争するのか?心理学者フロイトの解釈

「人はなぜ戦争をするのか」(フロイト1932年)

心理学者フロイトの解釈とは?

以前、この本はFacebookでご紹介したこの本は、心理学者フロイトと物理学者アインシュタインとの往復書簡の内の、フロイトの書簡を収めている。

 フロイトの考えをまとめてみると、

人間には

①エロス的欲動と②攻撃的欲動(破壊欲動)が備わっている。

 これらは複数の動機付けで作用するが、エロス欲動は人間が持つ自然性であり、生の有機化へと向かう生命の欲動だが、一方、攻撃・破壊欲動は生を奪い、無機化へ向かう死の欲動である。

この欲動は両者とも人間には不可欠な要素となっている。
フロイトによれば人間は戦争を欲求する本性を持っている。では、この破壊欲動をどう抑えるか。これさえ可能になれば、戦争は防止できる。

  破壊欲動を消し去ることはできないので、その矛先を戦争に向けないようにすれば戦争は回避できる。

そこで彼は①で備わっているエロス的欲動を利用する。性がともなう愛でなく、「汝の隣人を汝みずからのごとく愛せよ」という感情の結びつきやすい第二の愛の絆による同一化、一体化を目指せば良い。

お互いの大きな共通性を作り出して、理性に②の破壊欲動を従わせることだと強調している。これが、彼の戦争回避のための心理学的な立場から考え出し、アインシュタインに宛てた内容だ。

 なぜ反戦なのか。

「すべての人間は自分の生をみずから決定する権利を所有しているのに、戦争は希望に満ちた人間の生活を奪ってしまうからだ。

あるいは、戦争は人間をおとしめ、望みもしないのに他人を殺すように強制され、人間の労働の成果である貴重な物質的な価値あるものを゜は介してしまう。

これらの反戦の理由はすべて正しい。戦争の遂行が、すべての人間の合意によって禁止されることを望む。」と締めくくっている。

このフロイトの平和への方法論をどう受け止めるかは、現代に生きる私たち個々の人間にかかかっています。

よろしくお願いします。