夜をそだてる

余計であることから
始まった
会計のない商品として
この星にならぶ
どうして
わたしたちは
何かを失えば
何かを得られると勘違いして
命を支払おうとするのか
失いを盾にしても
光は突き抜けていく
その変わり果てた光の
通り道を
闇と呼んで
わたしたちは夜を作った
蓋をのぞけば
報われると信じて
足もとを転がり続ける
丸みのないからだを
ゆっくり削りながら
空のかたちに
あこがれて
しわを刻んだ
手をひらく
生きてることの
さびしさで
夜をそだてる
手のひらを

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