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詩集

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詩が集まって何かしています。 背景はときどき変わります。 (一時的に非公開になる詩はそのうち帰ってきます)
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2016年7月の記事一覧

タイムライン

きみの足跡をゆでるよ
生のままではさわれない
色がつかないとみわけられない
音をたてないときづかれない
きみの歩いた季節を
額縁からはずして
つけて
またはずして
何度もゆでなおす
レコードのように
ながれているあいだだけ
よみがえる
きみの足取りを

ギミック

発見をください
感情ではなく
理を盾にするでもなく
まるくて
やわらかくて
くっつかないものがいい
ふみつけても
ころがれるように
なげすてても
こわれぬように
よごれても
あらえるように
体験をなでたい
追想ではなく
夢をみるのでもなく
どこにでも
おちていて
だれにでも
ひろえるものがいい

わすれもの

そうだ、わすれものだ
おもいださなければ
わすれものでいられたのに
なまえなんて
なくなれば
なくなれば
よびとめることもなく
まばたいていられた
しらないから
しらないから
通りすぎれる
このからだを
通りぬけていく
ネームレス
生きるな、名前。
まだうまれては、いけないよ。