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詩集

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詩が集まって何かしています。 背景はときどき変わります。 (一時的に非公開になる詩はそのうち帰ってきます)
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2015年9月の記事一覧

ひとりよぎり

ひとりよぎりが得意なので
今日も
さまざまな空想が
夜霧にまぎれて
頭をよぎってゆくのです
夜霧はよけいでしたが
よぎってしまったので仕方がありません
時には
よぎりそこねた空想が
あなたの前で立ち止まり
じっと見つめてくることもあるでしょう
拾うほど可愛くもありませんし
写真におさまるほど輪郭もありません
なのにどうしてか
見捨てることもできない
それは
あなたの空想と
どこか
似ている

シークレット

だれにでも隠されたことがある
ひみつの嬉しさ
それは解き明かせるし
謎でもいられる
隠しごとのサプライズ
だれかやなにかがさえぎる
いきさつの違い
みちすじの誤解
まばたきの断絶
着想のプール
自分でもあって
他人でもあって
自然でもある
まとわりつく意図の糸
ほどいても切っても縛っても燃やしても
埋めても食べても投げ捨てても
すべてがつながり
隠しを助ける
きみを隠しているもの
きみが隠すもの

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寝ちがえる

さびしさを夢見ました
寝ちがえたせいか
めざめたのはわたしではなく
あなたで
光が影をいじめるから
みんな箱を愛してしまうのだ
なんてつぶやいていました
どちらかといえば挑んでいるまなざしで
ふわふわのカルテばかり食べている
お医者さまのつむじはロールケーキ
フォークを持つより希望のほうが軽い
みたいな顔していました
存在してないほうへ飛び立った青春も
すっかり年老いて
照れ笑いで
まだバカンスの

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