私、嫁やめようと思います⑤

ひどい悪阻を何とか乗り越え、なんとか第一子の予定日にこぎつけた。
おしるしがきて、陣痛が始まって、時間間隔もちょっとずつ狭まり、こんな育児書通りに進むんだ〜と我ながら感心しつつ、早めに入院して、出産に備えた。
「朝までには、産まれますよぉ」
助産師さんの言葉に安堵と緊張しながら、定期的な陣痛に耐えていたのだが、赤ちゃんの心音を測定中、助産師さんが、
「あれ?」
と言って、それから急に動きが変わり、みんなバタバタと動き始めた。

「何がおきてる?何があった?」
尋ねることも出来ず不安に駆られていた私に、
「赤ちゃんの首に臍の緒が巻きついてしまってるの。このまま普通分娩をすると危険なので、緊急帝王切開にきりかえます。」と説明を受けた。

それからは、あれよあれよという間に手術着に着替えて、一旦分娩室にストレッチャーで運ばれた。でも、その間も着々と陣痛は間隔を狭めていて、陣痛の合間を見計らって麻酔。怖くて痛くて、ブルブル震えた。
真夜中の病院の廊下をストレッチャーで手術室へと向かった。
麻酔のお陰で陣痛の痛みは遠のいたが、とてつもない恐怖との闘いだった!
「怖いよぉー」

手術室で主治医の先生の顔を見て、ほっとしたのか、疲れが一気に押し寄せて、思わずウトウト。助産師さんに、
「寝ちゃダメ。赤ちゃん、がんばってるのよ」と叱られながら、必死で目を開けているうち、
我が子の元気な泣き声が聴こえた。
「あー。産まれた〜。よかったぁ。赤ちゃん、生きてる!」

てっきり、初孫の誕生を義両親は、喜んでくれると思っていた。
しかし、出産して10日目に病室にやって来た姑と義妹。姑は、
「あんた、手術しただって。へぇー」とだけ言って、ベビーベッドに寝ている初孫をチラッと見ただけで、抱くこともなく、すぐに帰って行った。

せめて「おめでとう」と言って欲しかったな。

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