2023-24 冬春いちご栽培@伊豆・伊東の総括

9月、定植苗の確保の危機を克服。温暖化/夏の猛暑の影響!


過去3年間、冬春いちご(紅ほっぺ)の定植苗を仕入れていた長野の農家より、9月初旬に、「今年、9月下旬に定植苗を準備できるか確約できない」と連絡がありました。 猛暑が続き、育苗が上手く行かなかった様子。

定植苗の仕入れ先を必死に探したが、みんな断りの電話。ようやく、育苗会社よりF1種子の冬春いちごの苗を確保。2023-24シーズンを無事迎えることが出来ました。

夏の猛暑傾向で、定植苗の確保に毎年ハラハラすることになるのか? ブラジル・アメリカでのオレンジの不作、国内でのオレンジジュース販売停止の動きもあり、農業サプライチェーンの持続性が身近な問題になってきた? 

冬春いちご栽培で、幸せになった話


庭にDIYで2.5畳くらいのビニールハウスを自作していた方に、冬春いちごの家庭園芸に参加頂きました。

定植前に、「上手くいけば、1株あたり、スーパーで売っているいちご2パック位の収穫できます。」と説明したので、責任を感じていいましたが、

年末年始に初収穫。 奥様が描かれたいちご初収穫の絵を頂きました。

旦那様からは、こんなラインのメッセージを頂いています。

「今晩は、何時もお世話になりありがとうございます、1月12日3種類合わせて333g収穫致しました、娘の処&孫におかげさまで送る事ができ、じいじの株が一段と上がり、感謝感謝の毎日です。」

「私の苺は4月末日で22回収穫して合計4,664gです、まだまだ花が咲いていますので、収穫出来そうです、ありがとうございました。」

2024年シーズンも冬春いちごの栽培続けるそうです。

冬春いちごのリレー栽培に参加して頂いた話


冬春いちごの定植は9月、極寒期を経るためビニールハウスでの栽培が一般的です。そこで以下の「リレー栽培」を試みました。
* 3月半ば迄、ビニールハウスの中で「プランターでゆっくり栽培」
* それ以降は、参加者にプランターをお引渡し、
* 屋外栽培でプランター栽培を継続頂く 
伊豆・伊東ならではのエピソードを目指してのことです。

この「リレー栽培」に参加頂いたのは4名の方たち。 3月半ばまでのハウス内での栽培方針は、
* 規則正しく潅水・液肥を与えない
* 極寒期の夜でも加温しない
* 一生懸命と栽培管理しない(株にエネルギー消費させない)
株を酷使しないで、お引渡しする「リレー栽培」を心掛けました。

「リレー栽培」にご参加頂いた方よりは、様々なエピソードをラインで共有頂いています。 

リレー栽培で引き継ぎ後の栽培の景色


29gの収穫粒は立派です。


リレー栽培のいちごスイーツ



メッセージ「7グラム〜28グラムの大粒まで収穫できましたよ」


メッセージ「昨日、冬春イチゴ収穫しました。大粒4兄弟、最大40g超でした。」


メッセージ「春イチゴも問題もなく数回の収穫ができました。とても美味しくいただきました🍓」

出荷伝票の統計から見えること


出荷統計から見えることは、「今年の本圃の冬春いちご収穫は平年並み」。但し、毎年の出荷伝票を追いかけていくと、各年の生育・収穫状況の記憶が蘇ってきます。

過去4年間は、冬春いちごは紅ほっぺを栽培していましたが、今年は、「よつぼし」、「すず」、「はるひ」の3種類の栽培。 品種が変わると、収穫推移がだいぶ違うことがわかりました。

いちご農家の意地で出荷する12月。
極寒期、何とか果実を成す1-2月
春先に最盛期に向かう3月
ハウスの中で汗だくの繁忙期の4月
収穫最後の追い込みの5月

この辺あたりまでは、毎年共通のことですが、各年で「滑った転んだ」のエピソードがあり、それなりの波乱万丈なのが、いちご農家の1年です。


収穫推移、みどり色が今年


出荷しない小粒イチゴの行方の話。 


今年の出荷基準は、8gまでは出荷。出荷しない7g以下の小粒の活かし方を試験栽培の参加者に試して頂きました。 

今年は、出荷しない小粒イチゴに、新しい活かし方の発見です。     写真アルバムで、一挙にご覧ください。

https://note.com/preview/nab3ae5eb56c8?prev_access_key=1e61d5278ff0e081c19b1c78c367c1ba


いちご農家を支えるのは、やはりテクノロジー


私のビニールハウスの直ぐ近くでいちご栽培をしている方から、「ハダニの天敵の使い方を教えて欲しい!」と相談を受けました。 ハダニ害虫が蔓延、4月下旬には今シーズンのいちご栽培を中止とのこと。

私の本圃が、ハダニの被害を免れたのは、やはり、オランダから直輸入のテクノロジー、「天敵製剤」でした。

『総合的病害虫・雑草管理(IPM)を推進する上で、天敵の利用は、化学合成殺虫剤を削減しつつ害虫防除を行なうための重要な技術です。』(農研機構のHPより)

ハダニの天敵利用技術が日本に輸入されたのは15年前。施設園芸を支えているのはテクノロジーの存在なのでしょう。

いちごの出荷先の顧客の評価は? 


いちごの出荷先は、芸能人・セレブご用達との評判の広尾・西麻布のイタリアンレストラン。出荷して今年が5年目。

収穫は、いちご果実の形状、光沢(艶)、完熟度を眺めながら、翌日の午後に顧客のキッチンに届いた時のパティシエの表情を頭の中で想像しながらの作業になります。 

11月の初収穫から5月の収穫時期、週2回(11月-3月)、週4回(4月以降)の収穫作業をしながら空想しています。


 




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?