見出し画像

オリックス(8591)優待廃止について。


一番人気の優待銘柄、廃止の衝撃。

 2022年5月11日、優待投資家御用達な一番人気の優待銘柄であるオリックスが2024年3月分の優待発送を持って廃止すると発表し、優待投資家に衝撃を与えた。2015年から開始されたふるさと優待は、10周年を迎えることもなく幕を閉じることとなった。

 ふるさと優待制度は、機関投資家や海外投資家ばかりが保有している状況だったこともあり、株価を安定させたい思惑から、個人投資家を増やそうとした経緯があるものの、あまりにも有名になりすぎてしまった現在では、優待絡みのコストの方が嵩んで、投資家を分散するメリットが感じられなくなっていた。

 そんな矢先に疫病騒ぎとなり、外出自粛の直撃を受けた経営基盤が弱い会社から順に優待廃止や改悪する流れとなったことや、東証プライムで必要株主数が減少したことを機に廃止に踏み切れたのだと考える。

 今思えば、増配や自社株買いなどの、機関投資家や海外投資家から評価されるような株主還元方針に転換している感が滲み出ていた印象があったため、そちらに重きを置くのであれば、確かに優待制度はコストのかかる少額投資家優遇制度であり、機関投資家や海外投資家からすれば面白くないのは目に見えている。

 かつてのトラスコ中山(9830)のように、あまりにも優待が豪華で、しかも自社商品ですらないとなると長続きしないのは自明の理である。

優待投資のあり方を考える。

 月曜から夜更かしの放送にて、優待名人の桐谷さんが一般に知られるようになったことで、株主優待目当てで投資する個人投資家が増えた印象があるが、優待投資はあくまで日本独自の制度で、数ある投資手法のひとつでしかなく、手段が目的化してしまうと本質を見失う。

 投資の本質は、自分が賭けた時間・お金・労力よりも大きなリターンを得ることであり、優待に気を取られ、大して財務分析も行わずに保有していれば、ヴィレッジヴァンガード(2769)や、すかいらーく(3197)のように業績悪化による優待改悪若しくは廃止となった際に、優待の恩恵が受けられなくなるだけでなく、株価も暴落して含み損を抱えたまま保有するか、損切りして貰っていた優待以上に痛い目をみると言う、まさに泣きっ面に蜂な状態となる。

 だから私は優待だけを理由に銘柄を保有することは基本的にない。優待に関しても廃止となりにくい自社商品かつ、日常生活のコストを削減できる生活防衛優待の側面が強い銘柄であれば保有を検討する。

 しかし、カタログギフトなどの貰えると嬉しいが別に生活コスト削減に直結しないものに関しては、優待を設けていない銘柄と同等に、財務分析やリスクの洗い出しを行なった上で高配当銘柄を選定し、棚ぼたで優待が付いてきた程度の地味なものが多い。

 オリックスも立ち位置的には後者で保有していたが、優待が派手だった故に長持ちしない結果となった。廃止は悲しいものの、カタログギフトに掲載されているものを身銭を切って買っていたわけではないので傷は浅い。

 そんな条件を課して選定しているため、実はメジャーな優待銘柄ほどあまり保有しておらず、反対に知る人ぞ知る感じのニッチな優待銘柄を淡々と受け取っていたりする。

 具体的な銘柄は控えるが、考え方としては、日常使いの外食や喫茶店を運営する会社が優待を設けており、利用可能であれば優待券によって今まで身銭を切っていた外食費を削減することができる。

 日常的にビールを飲むなら、ビール会社の優待によって年間数本ではあるが自社商品詰め合わせとして優待が送られてくるし、メーカーにこだわりがなければ複数社分保有することで、月に1本くらいは身銭を切らずに缶ビールが飲めるようになる。晩酌が欠かせないのであれば、優待でスーパーでの酒代を削減することができる。

 年に数回は利用する小売店や家電量販店が優待を設けていれば、その時の購入代金もいくらか優待券で賄えるし、日用品のメーカーが上場していて優待を設けていれば、毎年自社商品が送られてくるため、いくらか生活コストを削減できる。

長期投資を続ける要素としての優待。

 投資で利益を得るためには、退場することなく投資を継続し続けることが重要なのは、米国株式のチャートを100年単位で眺めると容易に想像がつく。それでも、初心者が投資を継続するモチベーション維持のために、スパイス的な要素として株主優待目当てで投資するのは悪くないと考えている。

 私も面白いと感じた優待銘柄があると、最悪半値になっても良いからどんなものか試してみたいと思えたときは買い注文を入れる場合がある。実際に半値になってしまった銘柄もあるが、後悔はしていない。

 投じた資本よりも大きなリターンを得ることを目的とするならば、歴史上右肩上がりである全世界株式か米国株式の優良インデックスファンドを購入して15年以上の長期で保有するのが最適解であるが、肝心の長期投資を続けるのが難しいのが最大の難点であるから、生活が楽になる実感が湧きやすい生活防衛優待を揃え、一巡したらインデックスファンドに投じるのが投資の入口としては最適解かも知れない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?