自己紹介と研究の内容について

はじめまして。住吉康大と申します。

宣材写真
(清々しいほどに格好つけた写真ですが、どうぞご容赦ください。)

現在は東京大学大学院総合文化研究科の博士課程2年生として、「アドレスホッパー」や「多拠点居住」などの、「移動しながら暮らす生活」をテーマに研究しています。

このたび、「新しい働き方Lab 研究員制度」第2期のLivingAnywhereCommons指定企画「場所に縛られない”LivingAnywhere”な生活は、人にどんな変化をもたらすのか?」に学術調査の立場から参加させていただきます。

この記事では、「何者なのか?」「どんな研究をしているのか?」をご説明します。

1.自己紹介

出身:鹿児島県日置市
年齢:25歳(1996年生)
所属:東京大学大学院総合文化研究科 人文地理学教室

18歳まで暮らしていた鹿児島県日置市は、人口5万人足らず、県庁所在地の鹿児島市から電車で20分のベッドタウンです。

とはいえ、小学校のジャングルジムに登れば遠くに海が見え、中学校の裏には田んぼが広がり、雑木林の秘密基地がステータスになるような、自然も身近な生活を送ってきました。

高校生の頃、「地方消滅」が叫ばれ始め、そんな「心のふるさと」が消えていくことに危機感を覚えました。

どうすればよいのだろう?自分はどんな風に関わることができるのだろう?

それを知るべく、東京大学に進学しました。

しかし、入学してすぐの頃。クラスの自己紹介でそんな思いを話したとき、衝撃の一言を食らいます。

「地方とか、別にどうでもよくない?」

確かに、国際的に競争力の高い、日本を牽引する都市である東京の活力さえ保てれば、おのずと地方にまで波及するという考え方もあります。
人口全体が減っていく中で、無暗に「地方」が奪い合いをすることは不毛だとも言えるでしょう。

大学のすぐそばに住んでいた彼にとっては、特に深い意図もない、純粋な疑問だったのでしょう。

ただ、当時は何も答えることができませんでした。

合理的な、経済的な価値で表現することができない、「ふるさと」という感覚や「失われる寂しさ」という感情をどう説明すればよいのか。
どのように守り、保つことができるのか。

自分なりの答えを探すために、ああでもないこうでもないと考えて、大学院に進みました。

2.どんな研究をしているのか?

専攻しているのは、「人文地理学」です。

説明がとても難しいのですが、「人間と地面(空間?)が関わることならなんでも研究してやろう」という分野です。

ものすごく簡単に言えば、NHKの「ブラタモリ」という番組みたいな感じ。
歴史でも、産業でも、文化でも、政治でも、「そこ」で起きていることを様々に調べて、考える研究をします。

そんな分野の中で、私が特に関心を持っているのが「場所」という概念です。

人文地理学での「場所」という言葉は、ただの「位置」という意味ではなく、人間の記憶や経験、いろいろな行動、モノや人との関係などなどが結びついて出来上がっている概念です。

まさに、「ふるさと」なんていうのも一つの特別な「場所」です。ただの○○県××市△△町~という住所だけでは表すことができないからです。

現代においては、インターネットをはじめとする様々な技術の進歩で、人も物も情報も、どんどん移動して、一か所に留まらなくなってきています。

その先端を行くのが、「LivingAnywhere」という暮らし方です。

では、そこまで流動性が高まったとき、「人間と場所」のかかわりはどう変わり、人は場所のことをどのように捉え、どのように影響を及ぼし、受けるのでしょうか?

世の中的には、1人の人がどんどん移動して、いろいろな地域と関わると、「関係人口」になって、「地域の活性化」に繋がると言われています。
でも、それはあまりにも「移動する人」のことを無視しているように感じるのです。

それぞれの思いや人生があって、いろいろな経験や、行動が積み重なることによって「場所」との関係が紡がれていくはずです。
活性化のための人材として考えるのではなく、まずは人生を歩む1人1人として考えるべきです。

移動の中で、人はどのように場所を捉え、認識し、関係を作っていくのか。それが人と場所の両方にどのように影響するのか。その過程を知りたい。

それが、今回の研究の最大の目的です。


3.お願いしたいこと

2に述べたような目的で研究を行うにあたり、「実際に移動生活を行う人々の行動や考えの記録」は、何よりも貴重であり、かつ欠かすことのできない情報です

そこで今回、企画にご参加される皆さまに、次の3つをお願いしています。

  • 記入された日記の提供

  • 「#LivingAnywhereStory」タグをつけたSNS投稿の閲覧許可

  • インタビュー調査(30分~1時間程度)へのご協力

研究成果として発表する際には、提供いただいた日記の原本やインタビュー調査の録音(一次情報)を、テキストとして文字起こしし(二次情報)、さらに個人を特定できる情報を削除して確認していただいたもの(三次情報)を用います

一次情報・二次情報の段階では、私以外の人物が閲覧することはありませんし、厳重なセキュリティの下で管理しますのでご安心ください。

それぞれの詳細については、5月12日の事前説明会、ならびに研究期間開始後の説明会にて説明いたします。

得体のしれない人に日記というプライベートな文章を読まれると考えると、心理的なハードルが非常に高いことは重々承知しています。

しかし、皆さまの記した一言一言が、これからの「暮らし方」の、そして「ふるさと」の在り方を見通す大切な道しるべになります。
日本では例のない取り組みであり、世界的に見ても稀少な研究になると考えています。

ぜひ、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


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