訪問介護の話
今年87歳になるT子さんは
サービス付き高齢者住宅に入居している。
周りのみんなはあの人は大認知症だから同じ話をなんどもするから適当にねと言うが、
私は認知症なんて言葉大嫌いだし今現状、直す薬も存在しないし、
唯一の方法はきちんと向き合うことだとおもっているので毎回丁寧に話しを聞く。
みんなには聞き流されていた又はまったく聞いてもらえなかった話がとても深い
T子さんは「私はいつも母にバカだとおこられてばかりだったそれが嫌になり酷く怒られた日は山ににげて、そのバチがあたって足が悪くなった」と何回も言う
よくよく聞いてみたら早いうちにお父さんが亡くなり
未亡人になったお母さまは
女手ひとつで2人のこどもを育てなくてはならず、
T子さんに妹の世話や家事などを託した、T子さんが銀行に勤め出してからは
銀行のお給料の封を切って少し同僚とお茶をして帰ったら顔面蒼白で怒り
「お父さんはそんなはしたない事しなかった封を切らず真っ直ぐに渡してくれた」とののしられ
それからはそのまま渡して少しのお小遣いをもらうようになる、そんな生活が続き
T子さんは恋愛も遊びもしたことがないままお母さまが倒れて介護生活に入る
大昔なので介護保険制度もなく3年間の寝たきり生活で今のような便利なオムツもなく
お母さまの寝ていたところの畳は深く沈んでいったそうだ、お母さまがT子〜T子〜と呼んで直ぐにいかないと
長く伸びた爪を寝たきりのまま鷲のように立てて待っていたそうだ
今が初めての私の人生だと
全てをお母さまに捧げ家族を守ってきたT子さん
小学校の帰り道東京に向かうB29が低空飛行でパパパパパンと学生の列に機関銃で撃つ
大きな木が私たちを守ってくれたと戦後に兵隊が警察署の屋上からチョコレートやガムをばら撒き
それを拾って帰ったらお母さまにみっともない事するなと怒られたと話してくれた。
この前株の暴落があった。その時に日本企業の株がブラックロックという海外の会社に買われた
戦争は今も続いている、
直接機関銃で撃ってくるのではなく知らないうちに全てを買われてしまっている
とても綺麗な字を書くT子さん.メモに美しい詩を書いている
多分最後の時までサービス付き高齢者住宅で過ごすであろうT子さん
少しでも心が軽くなるなら何回も何回も話しを聞くよ❣️
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