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【読み物】SaaSは人類を低次元に導くかもしれないという説

どうも、株式会社digsas CPOの森勝と申します。

SaaSは、一体どのような変化をもたらすのか。本日は考察を垂れ流したいと思います。


SaaSとは何か?

SaaSは、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のこと。一般にはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組みで、シングルシステム・マルチテナント方式になっているものを指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/SaaS

大半のSaaSは月額課金方式を採用しており、だからこそ、多くのユーザーが莫大な投資をすることなく、クイックに、その提供機能を享受することができます。

必要分を提供するモデルは、投資におけるリターンが非常に明確で、多くの場合は、資本と時間を簡単に削減することができます。

だからこそ、多くの人・企業は、今日の生活・ビジネス活動におけるSaaSの重要性を理解しているのだと思います。


ではなぜ、これらSaaSが表題のように「低次元に導く」と推察しているのかをお話していきます。


次元とは何か

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まず、次元とは、点を基準に、1次元=線、2次元=面、3次元=立体、4次元…と続く、一般的に理解されたそれを指す一方で、物事の基準を抽象化する時にも使えます。(話の次元が違う、など)


仮に、この点を人間だとしましょう。


人間は線とも言える「1:1の関係」を結びます。双方が情報交換を行うことで、線=関係を構築しているとも言えます。

各人から見れば「1:Nの関係」を持っているだけで、まだここには「社会」はありません。

これが「N:N」、3人以上で同時に情報交換を行う状態となると、「関係」ではなく「社会」が生まれます。

社会は、関係に比べて、より複雑で、高度な情報交換を行える仕組みでもあります。

これをネットワークと言っても良いでしょう。

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そして、社会(ないしはその経済活動)は、その点でもある人間の数が多いほど、まるで意思があるかのような働きを持ち始めます。


例えば、見えざる手がその代表例でしょう。

見えざる手とは、(中略)、現代の初等経済学では元の文脈を離れて、市場における自由競争が最適な資源配分をもたらす、(需給関係を通じた価格変動の)自動的な調整機能を指すものとして使われることが多い。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%96%E3%82%8B%E6%89%8B


国や自治体、株市場を動かしている感覚を社会の全員が持っていないように、私たち個人の自由意思ではびくともしないのがマクロです。

例えば、男女の出生比などを見ても、ミクロである各個人にとっては確率的な事象なのに、マクロで見ればおおよそ1:1に収束するように、大抵の個人の活動は(マクロにとっては)確率事象的と言えます。


私たち個人のミクロの世界では、確率とは呼べない自由意思を感じますし、もちろん確率ではないことばかりでしょう。

あくまで、マクロの視点から見ると、私たちは確率的存在と言える、というのがミソです。

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しかし同時に、確実に、この社会を組成する人間個人が、社会を変えているのも事実です。

これは矛盾しているようですが、同じようなことが、私たちの細胞でも起きているとも言えます。


私たちは別段、赤血球や細胞核の意思を汲んで、人生を歩んではいませんし、多少細胞に変化があっても、大部分が問題なければ人体に問題ありません。

しかし、たまに突然変異した細胞が周りに波及し、体調を崩したり、大病にかかることもあります。


先の例の人間社会の話で言うと、マクロを組成しているミクロの世界は、万人万色な性格をしています。

見ている方向も全く違います。

しかし、その万人が社会というネットワークを形成していくことで、マクロが発生しています。


マクロにとってミクロは、確率的に発生するものだし収束もしていく。それぞれを意識することはできない。しかし確実に、ミクロの影響がマクロを変えている。

人間と自活細胞、社会と個人、そういう相関に似ています。


これを、次元が異なると言えるのではないでしょうか。


SaaSに感じたOSS感

実は私は、これらの次元の違いを開発の現場で長年見てきたように思います。

高級(複雑さがめちゃめちゃ増してるという意味)な目線では、私たちが使うスマホが良い例でしょう。

数多くのソフトウェアをOSSや、買収等から二次利用し、ハードウェアを組み合わせた超高級品とも言えます。

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私たちユーザーは、カメラAPIやNFC、GPSやネットワークモジュールといった低級な処理を意識せずとも、相手の声と顔を認識できています。

様々なミクロとも言える処理の数々が、部品・モジュール・デバイス、といった形で構成され、最終的には1つのインターフェースを通して、何かの課題解決が行われているのです。


そして、これらに用いられている多くのOSSは、「いつのまにか必要とされていて、いつのまにか生まれていた」ことが多く、凄いことに欲しいものは大体探せばあるんですよね。

マクロ的に見れば、確率的に生まれている、もしくは生まれるべくして生まれてくるといっても過言ではありません。


私たちが日々利用している多くのツールも、多くのOSSの元に成り立っており、場合によっては開発者でさえ、OSSの全てを意識していることはほぼあり得ません。

多くの問題に対して抽象化された「解決機能」を「利用」しているにしか過ぎません

この抽象化された解決機能を、ユーザーは利用するだけ、という構図からは、とてもSaaSと似通ったイメージを感じます。


ここで、冒頭で説明したSaaSについて、再度引用します。

SaaSは、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアもしくはその提供形態のこと。一般にはインターネット経由で必要な機能を利用する仕組みで、シングルシステム・マルチテナント方式になっているものを指す。
https://ja.wikipedia.org/wiki/SaaS


おわかりいただけたでしょうか?


SaaSというミクロがマクロを構成する

SaaSという、各方面の課題を抽象化した1種のミクロなモジュールは、結合し、連立していくことで低次元のためのマクロとなり得るのです。

組み合わせた結果、組織として存在するための様々な維持業務の数々を肩代わりし、「本質的な業務のみを考えることができるビジネス組織」として成り立つことができるのです。

私たちが、パソコンどうやって動いてるんだろ?と思いながらGoogle Calendarを使うことが無いのと全く同じ感覚で、会社ってどうやって維持されてるんだろ?と思いながらビジネスをするようなイメージに近いです。


様々な部門の連携などを考えながら組織構造は作られていますが、とりあえずフレームワークとしていくつかのSaaSを使えば、会社は立つし、資金も集まるし、人も集まるし、法律も問題ないし、税務も問題ない。

そういう世界観が、SaaSの組み合わせによって実現される可能性があるのです。

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問題があっても、必要なものは確率的に生まれてくるだろうし、本当に存在しないことがわかったら、それを作るのはあなたになるかもしれません


SaaSの裏側で何が行われているか深く考えずとも、ビジネスの維持に必要な処理を行ってくれたり、toCの世界では、生活の維持を代替する可能性さえあります。

例えば、GitHubを使うことでリモートリポジトリの構築が要らなくなり、不要なサーバー管理はなくなりました。

UberEatsなどを使うことで、レシピを覚える必要がなくなり、フライパンやキッチンが要らなくなるかもしれません。家賃を下げられた分、清掃サービスを使うかもしれません。


私たちが今抱えている問題のレベルのうち、維持や運営にかかるものは、システムで解決できるものも多く、より高度に抽象化され、一般化されたSaaSのようなものを利用していくことが予想されます。

抽象度を高めてくれるということは、より低級(シンプルという意味です)に物事を考えることができるということであり、言い換えるならば、より本質的に物事を扱いやすくしてくれるということになります。


人類を低次元に導くということ

私たちにとって、今まで複雑怪奇だった様々なイベントを、より低次元のレイヤーに持ち込み、わかりやすくすると言うだけでも表題になり得ると思います。

しかし、SaaSという点をつなぎ、ネットワークを用いることで、よりマクロ的で、より低次元に、物事を抽象化できる可能性があります。

人類は、高次元で複雑なものを、コンピューターや数学上で低次元に抽象化して扱うことができるように、さまざまなSaaSをネットワークとして用いることで、企業に複雑に鎮座していた数々の問題を、簡単に扱うことができるようになるでしょう。


もし、このような世界観に進みつつあるとすれば、面白そうな人(企画できる人)のところにプロジェクトが集まり、人が集まっていく社会が来ることでしょう。

誰でもできるようなこと=抽象化しやすい=AIに任せやすい=SaaSのようなものが発現する、のは自明であるため、企画者・実行者を中心としたハイレイヤーなビジネスがたくさん出てくるからです。

SaaS界隈のCxOの方々には、そうなりかけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

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同時に、誰もやりたがらないが社会に必要なプロジェクトというものも出てくるでしょう。

これらの社会維持のためのプロジェクトは、高額の報酬を国家で支援される必要があり、貧富の差が激しいというよりは、就職格差が激しくなるのではないでしょうか。

一方で予算が出やすい=爆速で解決される、といった構図を持っていそうで、人気と不人気のランキングが見る度に変動していくような想像ができそうです。


まとめ

今回の話は、究極的には、SaaSに限った話ではありません。しかし、そのビジネスモデルが提供している敷居の低さや、APIというデータ連携の仕組みが、ネットワークを構築することで互いに影響しあい、これからのビジネスの基盤に強いベクトルを与えるのだと思います。

個人的には、とても好きな世界観ですが、私自身もSaaSを開発する人間として、大きな世界変革のサイレントピリオドにいるように思えます。

私たちが売り手である以上は、問題解決の抽象化を進めていくことでしょうし、買い手である以上は、ローレイヤーに根付く自分自身の高次元な問題を考えていく必要は薄れてきます。


買い手は選び方1つでビジネスの在り方が変わります。

売り手は定期契約やノルマを理由にバリューマッチしない提供方法や、多機能で囲い込む戦略では無理が出てくるでしょう。


柔軟に変化できる組織体制への投資判断が必要条件となってくるこの時代に、digsasを提供していけることを素直に面白く感じます。


この記事はあくまで推察である上、私自身の見解も変わっていく類の内容です。お持ち帰りにはお気をつけ下さい。

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