Red Velvet_Russian Roulette_和声メモ

KPOPでの活躍も目覚ましいAlbi Albertssonの曲。彼の楽曲を聞くと、J-POPっぽいと感じることがよくある。手掛けた曲をざっと聞いてみると、とくに自分は、SHINeeのLucky Star、ソシのParty、そして本曲に共通したJっぽさを感じているみたい。

どこにJらしさを感じているか、まだ十分に解明できていないけれど、この3曲に共通するのは長調をベースにしつつ、(1)適度にオシャレな要素を含み込みつつ、(2)同時に「切なさ」のような感情移入しやすく親しみやすい要素が入っており、(3)かつ(1)が(2)に勝ちすぎないように留意されている点。本曲についてこれを追ってみると…

Aメロ:| Cm7 | F7(9) | Fm9/Bb | Eb, G7 |
Bメロ:| Fm7 | Eb/G | Abm7 | Bbm7 |
    | Fm7 | Eb/G | Fm9/Bb | Fm9/Bb |
サビ:| Cm7 | F7(9) | Fm9/Bb | Eb, G7 |
(Key=Eb)

(1)については、Aメロの和声を軽快なループ構造、2小節目の9度など豊かなテンションノートを使ったメロディー、3小節目ユーミンV風味の複雑なFm9/Bbの採用、さらにBメロの3~4小節目で一時的に転調する豊かな和声の盛り込み、あたり。

(2)については、Aメロやサビで、VI→II→V→Iと方向性の見えやすい和声を設定していたり、Bメロでしっかりとサビへと向かう「歌もの」敵な展開を用意しているところなどがあげられるだろう。また、パフュームっぽく感じたは、冒頭のCm7に加えて、シンセのミbレドッシソッファミbッドと、「レ=9th」の洒落た響きを加えたCのマイナーペンタトニック音階が入ることで、オリエンタル+エレクトロな雰囲気が出ているためで、これもある種のキャッチ―さに結びついている。

(1)と(2)のブレンド具合に自分がJPOPらしいと感じるポイントがあるように思えるのだけど、ここは判然としないところ。恐らく彼を含む海外の作曲家たちは、JとKの違いを認識ししつつ、作り分けているはずなので、ぜひそのあたりのインタビューを読んでみたいところ。案外、自分とは別の感覚でとらえているのかもしれないけれど…。

なお下記のインタビューによれば、Aアルバートソン(1987年~)はベルリン在住のドイツと日本のダブル(と明確に書いていないけれど)で、90年代の中ごろに神戸で過ごしたこともあるとのこと。日本のJPOP最盛期の音が溢れる時期にそこで過ごした経験によって、その後、日本の音楽市場に参与するためのハードルが低くなったことは想像に難くない。他方で、日本人の音楽に込める「感情」の部分が掴めない、とも語っている。なお本曲のような路線のほかに、VIXXのON&ONやEXOのMachineなどのパワフルな宇宙和声の作風もある。

http://soundgraphics.net/interview/albi-albertsson-interview.html

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