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SHINee'OddEye'の楽曲構造

今年最も活躍したK-POPアイドルといえば、やはりSHINeeのジョンヒョンではないでしょうか。その彼が、SHINeeの4thアルバムの冒頭を飾る曲として生み出したのがOdd Eye。

なんとも神秘的なムードのトラックに、ジョンのディレクションによる各メンバーの声の配置。従来のさわやかさをキープしつつも、怪しくも魅惑的な5人の今のカッコよさを引き出す素晴らしい1曲です。活動曲のViewも素晴らしいですが、Odd Eyeこそ、アルバムのメイン曲といってよいのではないかと思います。

さてこの曲、和声をとってみると下記の4小節のループ構造になっています。

|C△9|Fm7 Bbsus4|Eb△7|Dm7 Gsus4|

複雑に見えますが、構造的に実はかなりオーソドックスで、基本をしっかり抑えた上で作られた曲という感じです。構造だけを抜き出して単純化して表記すると下記のとおりです。

|I|IV VII|III|II V|

4小節目から1小節目にかけてII→V→I(ツーファイブワン)の流れになっていますが、これはジャズで基本とされる和音の動きで、アドリブなどはこの動きを軸に組み立てられます。じつは2小節目から3小節目も、IIIをIとみなせば(つまりそれぞれ2を引けば)II→V→Iとなり、ここにもツーファイブフレーズを盛り込むことができます。

例えばモダンジャズ風に和声とリズムをアレンジすると下記のような演奏が可能です。

今からすればちょっとレトロな感じで、都会的なムードと情感たっぷりなモダンジャズの雰囲気が十分に味わえます。上記の音源では(私の腕の問題で^^;)十分に弾ききることはできていませんが、まるでジャズの練習のための曲といってもいい感じです。和音が変わるごとに異なる音階を意識して目まぐるしくフレーズを繰り出していくイメージで弾いています。

一方で、原曲の和声をそのまま使うと、モダンジャズ(1940年代に成立し50年代に黄金期を迎える)よりも、より現代的なコンテンポラリージャズ(60年代意向に新たに展開)という雰囲気になります。

都会的で洒脱なモダンジャズに比べて、よりスピリチュアルだったり宇宙的な感じが濃厚になりますね。ピアノのアドリブも、モダンジャズでは1小節や2拍ごとにせわしなく音階を変えていくのに対して、こちらはゆったりとおお掴みに1,4小節目と2,3小節目で転調するという事だけを意識して弾いています。

このように簡単にいろいろなアレンジができるということは、逆にいうとそれだけ和声の骨格がシンプルに基本に忠実に作られているということ。完成形は(冒頭に示した和声を見るとわかるように)非常に凝ったつくりの和声になっていて、そこが凝り性のジョンらしい点なのですが、その土台として、「基本がしっかりしている」というところは、今後の彼の作家としての発展性を考える上で、非常に重要なのではないかと思います。

ソングライターキム・ジョンヒョンの息の長い活躍に大いに期待したいと思います。

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